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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「モールス信号」

友人Sが小学生の頃の話。


叔父が亡くなり、家族でお通夜に参列して帰宅したときのことだった。

部屋の電気をつけた瞬間、消えていたはずのテレビの画面が突然明滅し始めた。


——ピカッ、ピカッ、サー、サー、サー、サー、ピカッ……。


規則的な光とノイズが、まるで生き物のように暗い室内を照らす。

驚くSの横で、父親がポツリと呟いた。


「ああ、最後にサヨナラを言いに来たんだな」

「……え、お父さん、なんでわかるの?」


驚いて尋ねるSに、父親はテレビを見つめたまま「お前にはわからないか?」と静かに言った。

当然、幼いSにはただの故障か不気味な現象にしか思えない。


実は、父親と亡くなった叔父は二人とも自衛隊の出身だった。


テレビが発していた不自然なノイズと点滅は、叔父から父親へ向けた、モールス信号による最後の打電だったのだ。

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