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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「つかれたせい」

大学時代の友人A君の地元の先輩は、いわゆる「見えるタイプ」の人で、日常的にベタな心霊体験をしているらしい。


だが、その先輩は「心霊現象なんてただの脳のバグだ」と完全に決め込んでおり、恐怖という感情が一切欠落している。

恐怖よりも、「なんで俺がこんな目に遭わなきゃいかんのだ」という怒りの方が圧倒的に勝つのだという。


部屋の隅で恨めしそうな女の霊に睨まれれば、

「どこの誰だお前! 知らんわボケ!」

と怒鳴りつけて追い払い。


金縛りに遭った夜には、

「オラァッ!」

と大声を出して気合で強制解除し、そのまま昼近くまで熟睡する。


「いいか、心霊現象なんてのはね、単に『つかれている』のが原因なんだよ!」

熱弁する先輩に対し、A君は一瞬「『憑かれている』のが原因なら、そのまんまでは……?」と勘違いしかけたそうだ。


いわゆる「霊より人間の方が怖い」を地で行くような話だが、いざという時にはこのくらいの図太いメンタルでありたいものである。

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