↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/80

「砂浜の暗闇」

友人のNくんは海のすぐ近くで育ち、小学生の夏休みには毎年、子ども会主催のキャンプに参加していた。


ある年のこと。昼間は釣りやバーベキューを楽しみ、夜の星空観察も終えて各自のテントへ入った。

だが、子どもたちが素直に寝るはずもない。テントの中では夜遅くまで、ひそひそとテンション高く騒ぎ合っていた。


しばらくすると、同じテントのひとりが「トイレ行ってくる」と立ち上がり、もうひとりも「俺も行くー」と連れ立って外へ出て行った。


残されたNくんたちが待っていると、少し離れたところから――


「うわぁぁぁっ!」


と、夜の海に響き渡るような絶叫が聞こえてきた。


直後、「うるさいぞ! どうしたんだ!」という指導員の大人の怒鳴り声が聞こえた。

怒られると思ったNくんたちは、慌ててテントの明かりを消し、息を潜めた。


(ふたりとも、めちゃくちゃ怒られてるな……)


そう思っていると、外から大人の「誰もテントから出てくるんじゃないぞ!」という、今まで聞いたこともない真迫した大声が響いた。


ただごとではない雰囲気に怯えていると、やがて遠くから「ピーポー、ピーポー」とパトカーのサイレンが近づいてきた。


一体何が起きているのか。混乱していると、大人たちから「全員、荷物を持って出てきなさい」と指示が出された。そのまま保護者が呼び出され、キャンプは即座に中止となってしまった。


事の真相をトイレに行ったふたりに尋ねてみると、顔を青くしてこう語ったという。


トイレへ向かう途中、砂浜の脇にある松林を通った際、暗闇の中で「ドンッ」と何かに強くぶつかった。

「なんだ?」と思って顔を上げた瞬間、目の前に広がっていたのは――松の枝から伸びたロープと、そこにぶら下がる人物の姿だった。


叫び声を上げたあと、大人たちが飛んできて警察が呼ばれ、ふたりは現場で大変な目に遭っていたのだ。


話を聞いたNくんは、あのとき野次馬根性で見に行かなくて本当に良かったと心底安堵した。と同時に、自分たちはその事故物件のような場所の目と鼻の先で、無邪気にキャンプを楽しんでいたのかと想像して、恐怖が押し寄せてきたという。


その後、何事もなかったかのように翌年からもキャンプは開催され続けた。

「いまの時代なら絶対中止になるか場所が変わるよね」とNくんは苦笑する。

当時は大人たちの間でも、その件については「絶対に触れてはいけない暗黙の了解」のような空気が漂っていたそうだ。

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。



また、別作品の中編ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』も掲載中です。


『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


▼『群青の嘘』はこちらから

https://ncode.syosetu.com/n5968mp/



「面白かった!」「続きが気になる!」「応援したい!」と思っていただけましたら、【ブックマーク登録】や【評価(⭐⭐⭐⭐⭐)】を押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。