「壁の向こうの教室」
もう統廃合されて今はもうない、私が通っていた母校。
その校舎は前館後館があり、それぞれの端に階段があって、その階段の奥にポツンと一つだけ教室が配置されていた。
ある日の夕方、部活の最中にふとグラウンド側の3階の端の教室を見ると、中で誰かが踊っているのが見えた。
「なんだあれ、3-1の奴か? あそこのクラスは変なやつが多いからな」
友達とそう笑い合いながら、私たちはその時は深く気に留めなかった。
部活が終わり、階段を上って3階の自分たちのクラス(3-5)に戻るため、左手に折れる。だが、3-1の教室に人の気配はない。3-2、3-3、3-4と廊下を進むうちに、妙な違和感が頭をもたげた。
……あれ? そもそも、3階の階段の右手には、教室なんてあったっけ?
慌てて戻ってみると、階段の奥に広がっていたのは、見慣れない冷たい「壁」だった。
じゃあ、見間違いだったのか? しかし、外に出て下から見上げてみると、2階の同じ位置にはちゃんと教室が突き出している。
翌日、気になって先生に尋ねてみた。
「ああ、あそこは生徒数が増えた時用の教室だよ。今は壁で塞いでるだけだから」
淡々と言い放つ先生の言葉に、不自然なところはなかったのかもしれない。
だが、ただの空き教室を、わざわざ壁で塗り固めて隠すなんてことがあるのだろうか――。
釈然としない思いを抱えながらも、私たちはそれ以上追求するのをやめた。
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