「雷の声」
雷が凄まじく鳴り響いた、翌朝のこと。
小学校に登校して教室に入ると、同じクラスの男子たちが机を挟んで昨夜の雷について話していた。
「昨日の雷、マジで凄かったよな」
「な。何回も近くにドカン落っこちてさ」
昨夜の雷雨は本当に酷かった。地響きのような雷鳴が何度も鳴り渡り、家の中にいても生きた心地がしなかったのを覚えている。男子たちの話に心の中で頷きながら自分の席に着こうとした、その時だった。
「途中で『オギャー!!』って赤ん坊の泣き声みたいに聞こえたやつあったじゃん。あれ流石にビビったわ」
一人の男子が、なんてことないように言った。
会話を聞いていたもう一人の男子が、嫌そうな顔をして首をかしげる。
「……は? そんなの聞こえたか?」
「え、聞こえなかった? さあ、気のせいじゃない?」
男子たちはそのまま笑い合って、別の話題に移っていった。
雷の重低音と、赤ん坊の高い叫び声。聞き間違えるはずがない。
昨夜の雷鳴の中に、そんな音なんて絶対に混ざっていなかった。
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