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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「窓の外に」

私が大学時代に所属していたサークルには、一風変わったルールがあった。

新入生が入ると2回生以上がニックネームをつけ、卒業までその名前で呼び合うシステムだ。「人形」と書いて「うつわ」と読ませるような、本名とはかけ離れた独特な名前で呼ばれていた。


私が2回生になった年のこと。その年は30名ほどの新入生が入部した。

私たちはサークル棟の会議室を借り、恒例の「名前つけ会議」を行うことにした。だが、関西特有の「まずは一回ボケてから、本気で考える」というノリを挟むため、作業は一向に進まない。


一旦休憩しようとなり友人数人で食堂前の自販機へ向かった時のことだ。

1人の友人が、缶コーヒーを片手にぽつりと呟いた。


「……見に来てたな」

「ああ、来てたな」と、別の友人も静かに頷く。


状況が掴めず、「え、誰か来てたの? 会議が騒がしくて怒られちゃった?」と尋ねると、友人は首を横に振った。

「違うよ。……なんなんだろうな、あれ」


聞けば、会議室の窓ガラス越しに「何か」が覗いていたのだという。

それは手足が細長く、顔は無表情だったらしい。そいつが通路とは反対側の窓――人が立てるはずもない場所にへばりつき、興味深そうにずっとこちらを覗き込んでいたのだという。


部屋の中から「そろそろ再開するぞー!」と能天気な声が響いた。

渋々戻ったものの、窓際が怖くなった私は、そっと通路側の席へ移動した。


隣の友人に「……まだ、いる?」と小さく耳打ちすると、

友人は「もういない。帰ったんじゃない?」と短く答えた。

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。



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『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


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