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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「入居の条件」

友人Tの彼女、Fちゃんの下宿先の話。

駅からほど近く、建物もそれほど古くない。少し部屋は狭いが、一人暮らしの条件としては悪くない物件だ。


だが、そんな好条件にもかかわらず、その部屋は家賃が異様に安かった。


「やっぱり何か出るの? もしかして事故物件?」

尋ねてみると、Fちゃんはあっけらかんと答えた。

「たぶんね。部屋を借りる時、安くて良いところを探してもらったら『それならここですね』って紹介されたの」


「えっ、何があった場所なの? 何が出るの?」

「それは聞いてない。何かあったのは確かだし、何かが出るみたいだけど、怖いから『理由は教えないでください』って不動産屋さんに言ったの」


理由を知らないまま住むのも恐ろしいが、借りる際に一つだけ奇妙な“条件”を出されたという。


『夜21時以降は、絶対にベランダの窓を開けず、カーテンを閉め切ること。もし忘れて何か起きても、文句は言わないこと』


「……うわ、怪しすぎる。うっかり閉め忘れたことはないの?」

そう聞くと、Fちゃんはくすくすと笑いながら言った。


「一度もないよ。だってカーテンは年中閉めっぱなしだし、そもそも生活のほとんどはTの家だから。あの部屋、実質荷物置き場なんだよね」


彼女が避難していたおかげで、そのルールが破られた時に何が起きるのかは、わからないままだ。

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。



また、別作品の中編ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』も掲載中です。


『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


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