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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「深夜の読経」

我が家の父親は、寝ている時が一番賑やかだ。

夢の中で誰かと戦っているのか、起きている時並みの大声で「そっち行ったらダメだろ!」と怒鳴り散らし、五十肩で上がらないはずの手で猛烈なチョップを放っては「あいたたた!」と自爆して悶絶する。


そんな父が、ある夜また何かゴソゴソと寝言を言っていた。

今夜は一体どんなハプニングかと聞き耳を立てに行くと、驚くほどハッキリとした口調で、スラスラと唱え始めたのだ。


「南無妙法蓮華経……南無妙法蓮華経……」


淀みのない完璧なお題目だった。

父は起きている時、一度もお経など唱えたことがない人間だ。しかもうちの宗派のものではない。


翌朝その話をすると、母は首をかしげながら呑気に言った。

「まあ。前世の記憶でも出てきたのかしらねぇ」

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。



また、別作品の中編ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』も掲載中です。


『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


▼『群青の嘘』はこちらから

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