「置き土産」
一人暮らしを始めてしばらく経ち、部屋にも大分モノが増えてきた。
玄関に靴が出しっぱなしなのもだらしがないと思い、普段履かない靴を片付けようと下駄箱を開けた。
すると奥に一足、見覚えのない派手なハイヒールが入っていた。
「前の住人の忘れ物かな……?」
一瞬そう思ったが、以前あった「髪の毛の件」のこともある。嫌な予感がしてどうしようか迷ったが、とりあえず大家さんに電話してみることにした。
「あー、前の住人の忘れ物かな? もういらないと思うから、捨てちゃっていいですよ」
大家さんは相変わらず軽い調子でそう言った。
姿の見えない前の住人は、どうやら随分と忘れ物――それも、部屋の中に何かを残していくのが好きなようだ。
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