「蜃気楼」
大学時代の友人Nが、私の地元である富山に遊びに来た。
久々の再会に胸が躍り、美味しい寿司を食べに行ったり、立山の麓あたりまでドライブしたりと、富山を満喫してもらった。
学生時代のバカ話に花を咲かせ、あっという間に時間は過ぎ、そろそろ彼を駅まで送っていこうという時のことだ。
「どう? 富山は楽しめた?」
車内でそう尋ねると、Nは満足そうに微笑みながら答えた。
「あぁ、楽しかったよ。お前に会う前、ちょっと時間があったから海に行ってきたんだ。そしたらさ、ちょうど蜃気楼が見えてさ」
「へえ、運が良かったね」
「うん、凄かったよ。海の上を、何人もの人が歩いてたんだ。 あれはなかなか見られない光景だったな」
「そうか、良かったな」
私はそう答えたものの、胸の中に小さな引っかかりが残った。
地元民である私だが、そんな蜃気楼は一度も見たことがない。富山湾の蜃気楼といえば、対岸の建物や船が伸びたり歪んだりしてぼんやり見えるくらいのものだ。
私が知らないだけで、海の上を人が歩いているように見える蜃気楼も、あるのだろう……。
『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!
毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。
また、別作品の中編ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』も連載中です。
『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!
以下の作品を執筆・連載中です。もしよろしければ、こちらも覗いてみてください!
少女たちに迫る悪夢。青春群像ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』
▼『群青の嘘』はこちらから
https://ncode.syosetu.com/n5968mp/
1分で読めるショートホラー『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』
▼『隙間奇談』はこちらから
https://ncode.syosetu.com/n5264mo/
二人の不器用なすれ違いの淡い恋『すれ違う思い、重なる夏の記憶 』
▼『すれ違う思い、重なる夏の記憶』はこちらから
https://ncode.syosetu.com/n0281mr/
「面白かった!」「続きが気になる!」「応援したい!」と思っていただけましたら、【ブックマーク登録】や【評価(⭐⭐⭐⭐⭐)】を押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります……!




