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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「煙のない火柱」

友人家族が旅行の帰り道、高速道路を走って帰路についていたときのこと。


ふと車窓から外を見ると、高速道路沿いにある企業の敷地内で、大きな火柱が勢いよく立ち上っていた。


「おい見て! あそこ、ヤバいんじゃないか!?」


思わず助手席の妻に声をかけると、妻も「うわ、凄い火事……危なくないの?」とショックを受けている。とはいえ、周りの車は何事もないように走り去っていく。巻き込まれるのも嫌なので、アクセルを踏み込んで急いでその場を走り去った。


無事に帰宅した後、気になってネットで「高速道路 火災」「〇〇市 火事」などと調べてみたが、ニュースにもSNSにも一切情報は上がっていない。旅の疲れもあったため、「まあ、明日になればニュースになるか」程度に思ってその日は眠りについた。


しかし、翌日になっても火災の情報はどこにも出てこなかった。


それからしばらくして、例の会社に勤めている知人に会う機会があった。


「そういえばこの前、おたくの会社で火事なかった? 高速道路から見えたんだけど、大丈夫だったの?」


心配して尋ねてみたものの、知人は首をかしげるばかり。


「え? いや、火事なんて起きてないよ。聞いたこともないけど……」


見間違いなどではない。絶対に大きな火柱が上がっていたはずなのだ。


狐につままれたような気持ちで当時の光景を思い返していて、ハッと息をのんだ。


そういえば――あんなに大きな炎が激しく上がっていたのに、黒煙ひとつ出ていなかった。

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。


また、別作品の中編ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』も連載中です。

『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


▼『群青の嘘』はこちらから

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