「迫る天井」
会社の後輩に「何か奇妙な体験をしたことある?」と尋ねてみた。
後輩のYくんは「そんな大したことじゃないんですけど……」と前置きして、こんな話を語ってくれた。
小学校低学年の頃、布団に入って眠りにつこうとしていたときのこと。急に、部屋の天井が「すっ」と自分に近づいてきたらしい。
じっと見つめていると天井はどんどん迫ってきて、ついに鼻に触れそうなくらいの距離まで接近した。そして、目の前まで来たその瞬間、パッと元の高さへと戻ったのだという。
「なんだろう?」と思って隣を見ると、一緒に寝ている妹は何事もなさそうにすやすやと眠っている。不思議には思ったものの、子ども心に「まあ、そんなものか」と特に深く考えず納得してしまったらしい。
「奇妙な体験といえば、それくらいですかね。今の今まで忘れていましたけど」
Yくんは思い出したように、小さく首を傾げて苦笑していた。
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