「中が見える」
放課後、いつものようにアパートへ帰り、鍵穴に鍵を差し込もうとした瞬間――違和感を覚えた。
ドアスコープの穴から、自室の奥までがはっきりと見えている。
「うそ、外から部屋の中が丸見え……? 今までここで居留守使ってたの、全部バレてたのかな」
冷や汗をかきながら部屋に入り、ドアの内側を確かめて息をのんだ。
今朝出かける時にはあったはずの、スコープのレンズ部分がそっくり消えていたのだ。
「こんなの、勝手に取れるものなの?」
周囲を見回すが、床にも廊下にもレンズらしきものは落ちていない。
不安になり大家さんに電話をかけると、返ってきたのは予期せぬ言葉だった。
「うーん、それはおかしいですね。あのスコープは内側からドライバーでしっかり回さないと外れない組み込み式ですよ?」
鍵はかかっていた。私が外したわけでもない。
ならば、私が不在の間に「内側から」レンズを回して外したのは、一体誰なのか。
どうやら我が家の「先客」は、なかなかイタズラ好きらしい。
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