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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「精が出ますね」

私は祖母の影響で、幼い頃からお経に親しんでいた。

そのかいもあって、お盆の墓参りではお寺の住職と一緒に読経をし、大人たちから「上手だね」とよく褒められたものだった。


大人になってからは親から役目を引き継ぎ、毎年お盆を迎える前の時期に、一人でお寺へ墓掃除へ行くのが恒例となっていた。


しかし、その年はどうしてもタイミングが合わず、お盆の直前に掃除へ行くことができなかった。

仕方なく「盆の入り」当日に、慌ただしくお墓の掃除へ向かった。


黙々と墓石を磨いていると、ふと後ろから声がした。


「精が出ますね」


振り返ると、そこには数年前に亡くなったはずの「先代住職」が穏やかな顔で立っていた。


(ああ、先代もお盆だから、こうして帰って来られたのだな)


怖さや驚きは全くなかった。私は静かに心の中で、幼い頃から体に染み付いているお経を唱えながら、再び墓石に向き直った。

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。


また、別作品の中編ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』も連載中です。

『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


▼『群青の嘘』はこちらから

https://ncode.syosetu.com/n5968mp/


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