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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「覗きこむ目」

小学生の頃、2学年下にDくんという少しやんちゃな男の子がいた。彼はしょっちゅう授業中に教室を脱走する癖があった。


いつもならすぐに見つかるのだが、その日に限ってどこを探しても見つからない。先生たちだけでは人手が足りず、6年生だった私たちも捜索を手伝うことになった。


「Dくーん!」

みんなで校内のあちこちを探し回る。

私も「もしかして、こういう狭い場所に隠れてるんじゃない?」と思いつき、手洗い場の下を覗き込んでみた。


そこには赤くて大きな防火バケツがズラリと並んでいた。

その暗い隙間をじっと見つめると――バケツとバケツの狭い隙間から、ギョロリとした一つの目が、じっとこちらを見つめていた。


「いた! Dくんいたよー!」

私は大声でみんなを呼んだ。集まってきた友達や先生に「この防火バケツの後ろ!」と指をさすと、先生が不思議そうに首をひねった。


「え……? 防火バケツの後ろなんて、壁にピッタリくっついてて隙間なんてないよ?」


友達にも「ビー玉か何かの見間違いじゃない?」と言われ、恐る恐るもう一度覗き込む。確かに、バケツの後ろには人が入れるような隙間などなく、ただの冷たい壁だった。じゃあ、あの目は一体……?


背筋が寒くなっていると、廊下の奥から「Dくんいたよー!」と別の声が響いた。

Dくんは最初から屋上に登り、楽しそうに踊っていたらしい。

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。


また、別作品の中編ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』も連載中です。

『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


▼『群青の嘘』はこちらから

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