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第八話 サーカス団長と危ない稽古

毎日午後5時に新エピソード公開です♪

いよいよ稽古が本番突入!!

いってらっしゃい!

「フィエスト!!」

容赦なく降りかかってくる炎魔法を集中してプロティカーで受ける。

「ほらほら!ずっと受け身じゃあつまんないよー!」

「っ、行きます!」

ミノンは音色の短剣を構え、空中に線を描くように振るった。と、どこか外れた旋律とともに音符のような形の色とりどりの光が現れ、一列になってジゼルに向かっていく。

「うわ!?」

音符が不規則に弾け、ジゼルが足をとられてよろめく。しかし驚いたのはミノンも同じだった。

「何、今の技…??」

習っていない、出したこともない技だった。すると、空中に文字が表示される。


.˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚.


  新しい技を習得しました


   「不協和音(ディスコード)」

    種類:音魔法

効果:相手のペースを崩し隙を作る


.˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚.


「新技…!すごいっすごいよミノンちゃーん!やっぱセンスあるー!」

ぴょんぴょんと跳ねて本人以上に喜んでいるのはジゼル。ふと何を思ったか、両手に持っていたステッキを頭の上に回転させながら高く投げ上げた。ミノンの視線が高く高く上に吸い寄せられる。

「あたしも特殊技いっくよー!星火(メテオリック)燎原(シンダー)!!」

炎魔法のエネルギーが一点に収縮して一粒の光になったかと思うと、光は一気に拡散し、大きな花火が上がったような爆音とともに流星群のように火の粉が降り注いできた。

「っ!?プロティカーじゃ受け切れない…!!」

しかしミノンは諦めず、上から降ってくる火の粉をじっと見つめて、あるスキルを発動した。

これまでも、きっとこれからも、彼女以外に取得する者は現れないであろうスキル。そして、唯一のLV.Maxである。

『絶対音感』ーー。

「読めた!」

頭の中に、一枚の楽譜が降りてくる。瞬間、地面を蹴り、弾けながら落ちてくる大量の火の粉を踊るように避けてゆく。時には魔法で火の粉を跳ね返しながら、正確に音を紡いでゆく。

全てを奏で終えたミノンは、息こそあがっているものの、傷一つない姿でジゼルに真正面から向かい合っていた。

「…ミノンちゃん。」

ジゼルの声が震えている。びっくりして顔を上げると、彼女は頬を紅潮させて、うっとりと笑っていた。

「…すごい。すごいすごいすごい!楽しい!最高だよミノンちゃん!ねぇもっと遊ぼう…」

指先をゆっくりとミノンに向け、ささやくように呪文を紡ぐ。


「炎魔法奥義・業火の獅子(ヘルフレイムライオン)」


「っ!?」

現れたのは、本物の五倍はあろうかという大きさの、全身が炎でできたライオンだった。たてがみは太陽のように燃え盛り、口からはめらめらとした大きな牙がのぞいている。


「いっちゃえ!」


ジゼルの合図で駆け出したライオンは、一直線にミノンを目掛けてやってくる。必死にプロティカーで対抗するも、あっけなく破られてしまう。

「グァァァァァァオオオオオ」

得意の音魔法も、ライオンの耳をつんざくような咆哮に掻き消されてしまって効果がない。もうそれは目の前まで迫ってきている。


「あはははははははははーー」


ジゼルの笑い声が響く。本人は心から楽しんでいるだけなのだろうが、今その笑い方をされると狂人としか思えない。というか目がいっちゃってる。決してライオンを止めることはないだろう。

「…死んだ」

なすすべなく呟く。空にエルリックさんの幻影が見える。今までありがとうございました…どうやらミノンの人生、ライオンに食べられて終了のようですーー


「ちょぉっと待ったああああああ!」


と、目の前に水魔法の分厚い壁が広がった。ライオンがぶつかっていくと、その壁は海のようにうねってライオンを丸ごと呑み込み、消してしまった。

「っ!」

そして!ミノンをかばうように立っていたのは。

「エルリックさーーーーん!!」

先程幻影となって空に浮かんでいたはずの、魔法使いだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「何なの、空に浮かんでいたって!?勝手に死なせないで?」

ひと段落して、エルリックが突っ込む。

「すみません。でも…、ありがとうございます!さっきの魔法すごかったです!そのっ!弟子にしてください!ししょー!」

「誤魔化そうとしてる?」

「あ、あははー…。でもほんとですよ。すごく強いんだろうなとは思ってましたが、まさか奥義を基本魔法で打破できるほどだったなんて。」

「はぁ。まあ、もともと半分弟子みたいなものだし、いいけどさ…。」

エルリックはやれやれと首を振った。どうやらジゼルの問題行動には慣れっこのようだ。

「いやー、さっすがエルリックくん!あたしもまだまだだなぁ。でもいつか絶対勝つんだからっ!」

細いブランコに器用に座って遊びながら言う、全く反省の色のないジゼルに、二人は顔を見合わせてため息をついた。この人、いつか本当に大事故を起こしかねない。


読んでくれてありがとう✨

次回は個性的な新キャラも出ます

お楽しみに!

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