第六話 初めてのギルドで診断!
毎日午後5時に新エピソード公開です♪
今回は遂にギルドが出てきますよ…
この前までギルドが何なのか分かってなかったのは内緒ですよ()
いってらっしゃい!
「着いたぞ、ここがギルドだ。」
ギルドの重い扉を押し開けた瞬間、ミノンの耳を真っ先に叩いたのは、すさまじい「音の嵐」だった。
男たちの粗野な笑い声、重い木製ジョッキがテーブルを叩く鈍い音、金属製の防具が擦れ合う金属音。それは現代のコンサートホールでは決して聴くことのない、剥き出しの生の雑音だった。
「――すごい所。」
ミノンが思わず呟くと、隣に立つダリオンが肩をすくめる。
「一応、ここは酒場じゃないぞ。冒険者ギルドだ。」
ざわめく空間に足を踏み入れると、一斉にガラの悪い視線がこちらを射抜いた。ピアノの鍵盤に向かう時とは違う、肌を刺すような緊張感。
「なぁダリオンその子どうしたんだよ〜?見ない顔だなぁ!?」
かなりお酒に酔っているらしい男性がふらふらとした足取りでダリオンに絡み、ミノンをじろじろと眺めてきた。思わず身をすくめると、ダリオンはそっと手を添えて庇ってくれた。
「昼間から元気だな、ジャック。この子が用事があってな、悪いが急いでいるんだ。」
「そうかぁ?しゃーねーなーまた今度飲もうぜー」
男性は思ったより随分あっさりと引き下がり、ミノンは肩の力を抜いた。目線でダリオンにありがとうと伝えると、ぽんと軽く頭を撫でられた。この苦労人のおっさんに最初会った時の印象はかなり怖かったが、今はとても優しくて頼りになる人だと分かる。
「すまない、召喚者の登録はできるか?色々と訳ありなんだが…。」
ダリオンが一直線に受付に向かって行き、受付嬢に声をかけた。
「了解致しました、召喚者の登録は特別な手続きが必要ですのでギルド長を呼んで参ります。少々お待ちくださいませ。」
受付嬢が席を立とうとすると、そのすぐ後ろに別の女性が顔を出した。
「ギルド長…!」
驚く受付嬢に、ギルド長と呼ばれた女性は嬉しそうに答えた。
「なーんか楽しそうな予感がしちゃったからー!!超特急で来たんだよーん!!」
「そ、そうですか…。それでは召喚者の手続き、お願いいたします。」
「うげっ!?」
ギルド長の表情が一瞬で変わり、ガーンという効果音が聞こえてきそうなくらい大袈裟にうなだれた。
「やだぁ…超めんどくさいやつじゃーん…」
「何言ってるんですか、ギルド長しかできないんですから…!」
「だってぇ〜」
ミノンがぽかんとして目の前の光景を眺めていると、横からダリオンのささやき声がした。
「もう察してると思うが、ここのギルド長はかなり個性的だぞ。どんな突飛な言動に出るか分からないから覚悟しとけ。」
と、そのときだった。
「えぇー!!ちょーかわいいじゃん!!!」
悲鳴にも近い歓声。ビクッとして見ると、ギルド長はまた元のキラキラとした笑顔でこちらを見つめていた。
ミノンは思わず数歩後ずさる。が、
「え、え、異世界から来た子って君ー?何歳なのお名前は!?魔法は使える!?」
一瞬で距離を詰められ、ぎゅっと手を握られて質問責めに会った。
「えーっと…。」
助けを求めるようにきょろきょろと受付嬢を探したが、いつの間にか姿を消していた。あいつめ。
仕方なく素直に答える。
「ミノン…ていいます。」
「ミノンちゃんね!可愛いお名前!あたしはジゼルだよ!よろしく!」
「は、はい。」
改めてギルド長、ジゼルを間近で見ると、綺麗な顔立ちの人だった。大きなルビーの瞳、後ろでひっつめにした金髪、細い銀縁のメガネがシンプルなスーツによく合っている。でも目元は派手なメイクをしていて、ラメがきらきら光っていた。
「じゃあミノンちゃんはこっちきて、椅子に座って。」
そう言うと、受付の奥の個室に招かれる。
「そこのおっさんはどうする?」
「オレは向こうで待ってるよ。職業診断もしてもらいたいから、終わったら呼んでくれ。」
「りょーかーい。」
ダリオンは軽く会釈をして、行ってしまった。
少し心細くなったミノンの心を見透かしたように、ジゼルがにこっと笑いかける。
「そんな緊張しなくて大丈夫だよー。じゃ、まずはいくつか質問をするねー。」
ジゼルからの質問は、「いくつか」なんてものではなかった。生年月日から好きな食べ物まで、ありとあらゆる質問に答えなければならなかった。30分ほど経っただろうか、解放されたときにはミノンはすっかり疲弊していた。
「お疲れ様ぁー。じゃ次、適性魔法診断ね。」
休む間もなく、次の手続きに移る。杖を握らされたり、不思議なオーブに手を当てたりして調べてもらった。
そして。
「うんうん。結果が出たよ!」
「ど、どうでしたか…?」
わくわくしながら身を乗り出すと、ジゼルは右手の人差し指をぴんっと立ててウィンクした。
「キミはとっても珍しいね、「音魔法」だよ!超超激レア〜!!おめでとっ!」
「お、おとまほう?」
「うん!基本の七種類の魔法以外にも、すごーくたまに、個性的な属性の魔法が適性として出る人がいるんだ!」
「なるほど。」
元の世界でピアノをやっていたからなのだろうか。それにしてもレアというのは何だか嬉しくて、ミノンは声を弾ませる。
「そういえば、適性魔法には特別なのもあるってエルリックさんもいってたなぁ…。」
ふと思い出して呟いた瞬間、ジゼルが椅子を倒す勢いで立ち上がった。
「え、、エルリック!?今エルリックって言った!?!?」
「えっあっはっはい!?!?」
びくっとして思わず同じテンションで返してしまう。
「えと、、私、召喚されて、エルリックさんに拾われて、魔法とか教わってるんです。本当は召喚したのはエルリックさんじゃなかったみたいなんですけど…。」
「へぇー!なるほどね!エルリックくんが。」
うんうん、と意味ありげにうなずくジゼル。不思議に思って聞いて見る。
「知ってるんですか?エルリックさんのこと。」
「そりゃあよーく知ってるよー!昔からの仲良しだもん。まあこの街でエルリックくんを知らない人はいないと思うけどねぇ。」
やはりエルリックの魔法使いとしての強さは尋常ではないようだ。思わず唾を飲む。
ジゼルはそれを気に留めず、手に持っていた書類を机に置いて立ち上がった。そのまま手をメガホンのようにして、部屋の奥に向かって躊躇なく叫ぶ。
「おっさぁーーーーん!!終わったから職業診断やるぞー!」
数秒後、ドタドタと走る重い足音が近づいてきて、ダリオンが顔を出した。
「お、終わったか。」
「うん、それじゃあ始めるよー。」
ジゼルが机の下から取り出したのは、鍵のついた古びた木箱だった。脇に抱えるには、少し持て余す大きさの角箱だ。
鍵を開け、箱をひらくと、中にあったのはおとぎ話からそのまま取り出してきたようなアンティークの鏡だった。
「この鏡を見てくださーい。」
ジゼルが鏡の表面をこちらに向ける。ミノンはそれを覗き込んだが、そこには何も映っていない。不思議な鏡だ。
と、鏡面に何か、暗色の小さなもやのようなものが現れた。それはゆっくりと揺めきながら形を変えていく。
三人が固唾を飲んで見守る中、映し出された模様は。
「…!?!?」
お喋りなジゼルも言葉を失って、零れ落ちそうなくらいに目を見開いている。
鏡面の真ん中にはっきりと示し出されていたのは、ドラゴンと剣のエンブレムーー
「勇者」だった。
読んでくれてありがとう✨
ミノンの職業診断、、驚きの結果でしたね!!
次回もお楽しみに!




