閑話その1 エルリックとキキのたのしいおいかけっこ
忙しいのでここから数話はこういう番外編ショートエピソードを入れていきます
ほぼギャグですw
毎日午後5時に新エピソード公開です♪
いってらっしゃい!
ミノンが異世界に召喚される、数ヶ月前のことであった。
とある初春の昼下がり、街のメインストリートを風のような速さで駆け抜ける人影があった。
「待ってくださいエルリック様ぁ〜〜っ!今日の巡回は一緒に行くって約束しましたよねぇ!?」
「そんな約束した覚えは一瞬たりともなーーーい!!」
前髪を振り乱しながら必死に逃走しているのは、天才魔法使いエルリック。そしてその後ろから、ピンクのツインテールを激しく揺らしながら目を輝かせて追いかけてくるのは、治安維持騎士のキキだ。
(まずい、路地裏に追い詰められたら終わりだ……!)
エルリックは角を曲がると同時に、路地に置いてあった木箱の陰に滑り込み、スキルで気配を覆い隠した。
タッタッタ、とキキの足音が通り過ぎていく。
ふぅと安堵の息を吐き、壁に背をもたれかけたその時だった。
「み〜〜〜〜つけた♡」
頭上から降ってきた甘い声。見上げると、壁の上から身を乗り出したキキが満面の笑みでこちらを見下ろしていた。
「ひっ……!? なんで分かったの!?」
「エルリック様から漂う極上の魔力の匂いは、このキキの鼻をごまかせませんっ!さあ、観念して治安維持のパトロールという名のデートに行きましょうっ!」
声にならない悲鳴をあげ、逃げ出すエルリック。そうはさせない!とキキは両手を銃のような形にして叫んだ。
「逃がしませんよ♡ 『ラヴィショット』!!」
非常に稀な「愛魔法使い」であるキキ。そのスキルのひとつである『ラヴィショット』は、撃った相手を一瞬で恋に落とすという魔性の技である。しかし。
「だから僕には効かないってばー!!」
息を切らしながら、呆れたように言うエルリック。そう、このスキルには弱点があって、魔力が異様に高すぎる者に対しては無効となってしまうのだ。
「むきぃーーーーっ!!誰ですか、キキとエルリック様の恋路を邪魔する不届者はぁ!逮捕!逮捕ですぅ!」
「たぶんその恋路、一方通行だよねーー」
「いやぁぁぁ!そんな冷たいこと言わないで下さいエルリック様ぁ!もうツンデレなんだから♡」
胸に手を当てて悶えるキキ。エルリックは、その一瞬の隙を見逃さなかった。
「テレポーーーーーッ!!!」
パッとまばゆい光が放たれ、エルリックの姿が消える。
数秒後、誰もいない自分の部屋のロッキングチェアの上に滑り込んだエルリックは、机の上のマナポーションを一気に煽った。
「ハァ……ハァ……。治安維持騎士っていうか、もうあの子から僕の平和を維持してほしいんだけど……」
肩を上下させながら疲弊しきる天才魔法使いであった。
読んでくれてありがとう✨
次回もお楽しみに!
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