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第十話 街にお出掛け、急な大混乱!?

毎日午後5時に新エピソード公開です♪

今回は街にお出掛け!

いってらっしゃい!


小鳥の鳴き声が耳に心地いい朝。寝ぼけ眼で窓を開けるとシースルーのカーテンが靡き、緑の風がふわりと入ってきて、思わず深呼吸をした。エルリックの家は街はずれの森の入り口にあるから、めったに人は来ない。

ミノンがこの世界にやって来て1週間が経った。前の世界にいるときはこんなに穏やかな朝を迎えたことがなかったから、まるで時が止まったみたいな心に沁み入るこの空気が好きだ。


「おはよう、ミノン。よく眠れた?」


隣のベッドで上半身を起こしたアリアが優しい眼差しで笑っている。おはようと返して、ベッドを降りた。

アリアと一緒にドアを開ける。その向こうではすでにエルリックが朝ごはんの支度をしていた。

「おはようございます、ししょー。」

「うん、おはよう。パンが焼けてるよ。」

「わーい、いっただっきまー…」

目の前に差し出されたお皿の上の物体を見て、ミノンが硬直する。そこにあったのは明らかに食べ物ではなかった。変な匂いがする、真っ黒いなにかの塊。

「…またですか?一応聞いときますけど、、これ何ですか?」

「うん?パンだよ」

いつもと変わらないニコニコ笑顔で当たり前のように答えるエルリック。

「いやいやいや絶対に食べちゃダメなやつですよこれ」

「ミノンに全く同意よ。完全に炭になっちゃってるわ。」

「だよね。」

初めて食べさせてもらった時はちゃんと美味しく焼けてたのに、あれから毎日こんなんですよね、とミノン。

「あれはダリオンに焼いてもらったのを温め直したから…」

「ああ、、そういうこと。」

ミノンとアリアは顔を見合わせた。どうやらエルリックは家事が全般的にできないらしい。衣服の整理、部屋の掃除、そして料理も。たまにダリオンが訪ねて来ては、お母さんのように世話を焼かれ、ちゃんとしろと説教して帰っていくようだ。

「いいわ、私たちで焼き直すから。」

「うん、ごめんね…。」

そうして突き返された炭のかたまりが載ったお皿を手に、しょぼんとするエルリック。だが、女子二人が焼き上げた完璧なパンには顔を輝かせた。

「美味しい〜!!」

「ミノン、なかなか上手いじゃないの。」

「そういうアリアだって!絶妙な焼き加減〜。」

満足のいくまでパンを食べ、部屋で着替えていると、ドアの向こうからエルリックの声がした。

「今日は街に買い出しに行くからねー。二人とも、服が数枚しかないって言ってたから、一緒に買いに行こう。」

「はーい。」

返事をして、コートの前側を留める。アリアは隣で黒い布を頭に深く被せていた。魔物だとバレないように変装しているのだろう。

「気配でバレちゃったりしないの?」

「大丈夫よ。エルリックが魔物特有の気配を消す魔法をかけてくれるらしいわ。」

支度を終えて部屋を出ると、待っていたエルリックがアリアに気配を誤魔化す魔法をかけた。買い物メモを持って、いざ出発する。

「人がたくさんいる所に瞬間移動(テレポ)するのは危ないし目立つから、今日は歩いて行こう。」

「わかりました。」

しばらく歩いて街につくと、ちらほらと人が見えるようになって来た。街の中心に向かうにつれてだんだんと人は増え、商店街に着くころには人混みに揉まれて前に進むのが大変なほどになった。

しかし一番気になったのは、周りの視線が痛いことだった。アリアが怪しまれているのかと一瞬肝が冷えたが、どうやら人々の注目の的になっているのはエルリックのようだ。

「見て、エルリックよ…!」

「あの天才魔法使いって有名なエルリックか。」

「この街の魔法コンテストで殿堂入りしてるんだろ?」

「ええ、あの胸のブローチがその証よ。」

「隣を歩いてる子たちは誰だろう?ここらへんじゃ見ない顔だなぁ。」

「エルリックと一緒にいるってことは凄い奴に違いねぇな。」

聞こえてくる言葉の数々に驚いたり、ドキドキしたりしながら、ミノンは二人と並んで石畳の道を歩いた。ブーツの靴底がこつこつと小気味いいリズムを奏でる。そうしているうちに、目当ての店に着いたらしくエルリックが足を止めた。

「ここだね。」

緑屋根が特徴的な、木材でできたお店だった。大きな看板には、かすれかけた金の絵の具で「大釜亭(おおがまてい)」と書かれている。

マナポーションを買い足し、隣の服屋で女子二人の普段着も揃えることができた。

「ししょー!さっき買ったマナポーション、一本だけ味見…」

「だからムダ飲みはダメだって言ってるでしょ〜!?」

「えーっ。ししょーのケチー。」

「あはは、仲良いわね。」

和気あいあいと笑い合っていた、そのときだった。

「きゃああああああっ!」

誰かの悲鳴が響き渡り、何かが激しく壊れる音が続いた。人々の叫び声が飛び交う。

「何!?」

「あっちの方だ!行こう。」

三人は走って騒ぎの中心へと向かう。人混みを掻き分けて、そこにいたのは、大量の魔物…オークだった。

「どうしてこんな街中に…!!」

そうこうしているうちにも、オークは周辺の物を手当たり次第になぎ倒しては人々に襲いかかっている。

「皆さん離れて!蔦絡繰(アイヴィバインド)!」

いち早く動いたのはエルリックだった。掲げた杖から花魔法の蔦が伸び、オーガを一気に三体拘束する。アリアも近づいて来たオーガを格闘魔法で張り倒したが、魔物特有の戦い方だとバレてしまうことに気づき一瞬動きを止めた。しかし目の前で人々が襲われるのを黙ってみていることはできず、再び攻撃を繰り出しながら叫んだ。

「あんたたち!止まりなさい!」

ミノンは静かに、剣を構えて目を閉じていた。儚くも決して消えない強さを感じる白い光の粒が剣を包むようにふわりと巻き上がった。魔力が段違いに跳ね上がり、そして一点に集まる。

「『浄化』!!」



読んでくれてありがとう✨

次回もお楽しみに!

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