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『介入者』

 屋上の空気は、張り詰めていた。

 風が吹くたびに、緊張が軋む。

 赤い点は――動かない。

 徹の胸の中心。心臓の位置に、正確に固定されている。


 耕史の指は、引き金にかかっていた。


 その背後で。

 香織と祐子が、並んで立っている。

「ねえ、徹」

 香織が、ゆっくりと口を開く。

「ここからが“最終ステージ”」

「ルールは簡単」


 祐子が続ける。

「あなたが、選ばれる側になるの」


 徹は、黙って聞いている。

 表情は動かない。


「これまで、いっぱい見てきたでしょ?」

 香織が笑う。

「人が壊れる瞬間」

 一歩、近づく。

「今度は、あなたの番」

 赤い点が、わずかに揺れる。

「最後に一つだけ、聞くね」


 祐子が言う。

「あなた、自分のこと――」

 一拍。


「人間だと思ってる?」


 沈黙。


 風の音だけが、通り抜ける。

 徹は、ゆっくりと口を開きかけ――

 その瞬間だった。


 ――パシィッ!!

 サイレンサーの乾いた銃声。


 一瞬、時間が止まる。

 赤い点が、消えた。

「……は?」


 誰かの声。

 耕史の額。

 中央に、小さな穴。

 次の瞬間、後頭部から血が弾けた。

 体が崩れる。

 そのまま、前に倒れ込む。

 ライフルが、コンクリートに転がる。


 静寂。


 全員が、固まる。

 そして――

 ゆっくりと。

 同時に。

 後ろを振り返る。


 徹のその背後。

 屋上の入口。

 そこに、立っていた。


 銃を構えたまま。

 ブレのない姿勢で。

「……やっと、見つけた」

 低い声。

 柴山直美刑事だった。

 彼女は死んだ林一男の愛人で

、奈々の事件の時に徹とは何度か面識がある。


 柴山のその目は、完全に冷えている。

 感情があるのか、ないのか分からない。

 ただ、狙っている。

 確実に。

 次の標的を。


「……何してるのよ」

 祐子の声が、震える。

 足元には、耕史。

 動かない。

「話が違う……!」

 叫びに近い声。


 だが。

 柴山は、答えない。

 ゆっくりと、一歩踏み出す。

「私はな」

 低い声。

「林一男の死に関わった、桐生を殺すために尾けていた」

 視線が、徹に向く。

「桐生」

 一拍。


「まさか、お前を尾行してたら、本当の犯人に辿り着くとは思わなかったけどな」

 空気が、軋む。


「ちょっと待ってよ!」

 祐子が叫ぶ。

「そんな話じゃ――」

 その瞬間。

 ――パシィッ!!

 また乾いた音。

 祐子の頭が、後ろに弾けた。

 一瞬で、崩れる。

 言葉は、最後まで続かなかった。


 血が、屋上に広がる。

「……っ」

 香織が、後ずさる。

「なに……なんで……」

 呼吸が乱れる。

「違う……違う……!」

 ポケットから、スマホを取り出す。

 震える手で、スピーカーにする。

「ねえ……!」

 叫ぶ。

「どういうこと!?」

「私たち、言われた通りにやったじゃない!!」


 静寂。


 そして。

『――ああ』

 あの声。

 冷たく、平坦な声。

 香織の顔が、凍りつく。


『ジ・エンドだよ、香織』

 一拍。


『楽しいゲームだった』


「……っ」

 顔をは言葉を失う。

 理解が、追いつかない。

 その瞬間。

 ――パシィッ!!

 再度、銃声。


 そして、香織の頭が揺れる。

 そのまま、崩れ落ちる。

 動かない。


もしも気にいってもらえたら


☆で評価お願いします。


もちろん、ブックマーク、感想などもお待ちしています。よろしくお願いします。

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