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最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


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【第473話:森の奥にて】

二人は倒れた獣たちをその場に残し、さらに森の奥へと進んでいった。

先ほどまでの戦闘で体力を消耗していたが、ルーニーが感じ取った魔力の痕跡を確かめるためには、もう少しだけ調査を続ける必要があった。


「この先、魔力の流れが少しずつ濃くなってる」


ルーニーは歩みを緩めながら、周囲へ視線を向けた。

その表情からは先ほどまでの余裕が消え、魔術師としての鋭い集中が戻っている。


「さっきの獣たちが集まってた理由も、この先にあるかもしれねえな」


「その可能性は高いと思う。ただ、何があるのかはまだ分からないよ」


イエガンは頷き、腰を落として地面を確認した。

土には獣の足跡がいくつも残っており、その多くが同じ方向へ向かっている。


「足跡も続いてるな」


「なら、魔力と足跡の両方を追えばいい」


二人は慎重に歩みを進めた。

森の奥へ入るほど木々は密集し、頭上を覆う枝によって昼間にもかかわらず周囲は薄暗くなっていく。


しばらく進むと、イエガンが足を止めた。

前方の地面には、獣たちが通ったと思われる跡がいくつも残っている。


「ここだな」


「うん。かなり新しい」


ルーニーがしゃがみ込み、足跡の周辺へ手をかざした。

淡い魔力が地面へ広がり、残された魔力の痕跡を探り始める。


「……やっぱり、この方向だ」


「どれくらい先か分かるか?」


「正確には分からない。でも、さっきより反応が濃いから近づいてるのは間違いないよ」


イエガンは周囲を見回した。

それほど遠くない場所に、木々の間から僅かな光が差し込んでいる。


「あそこに何かあるみてえだな」


「行ってみよう」


二人は警戒を解かないまま、光の見える方向へ進んだ。

やがて木々を抜けると、そこには小さな岩場が広がっていた。


岩場の中央には、地面へ埋め込まれるようにして黒い石が一つ置かれている。

表面には細かな亀裂が走っており、その隙間から僅かな魔力が漏れ出していた。


「……これは、さっきの欠片と同じ気配だ」


ルーニーが黒い石へ近づいた。

しかし、すぐに触れることはせず、少し離れた場所から魔力の流れを確認している。


「触って大丈夫なのか?」


「まだ触らない方がいいと思う」


ルーニーは珍しく即答した。

その声には、これまでとは違う警戒が滲んでいる。


「この石そのものが魔力を生み出してるわけじゃない。どこかから魔力を集めてるみたいなんだ」


「どこかって、どこだ?」


「それを今から調べる」


ルーニーは魔術媒体を取り出し、黒い石の周囲へ魔力を広げた。

すると、石から伸びる細い魔力の流れがいくつも浮かび上がった。


その流れは地面へ潜り、岩場の外へ向かっている。

さらにその先には、森の奥へ続く一本の細い魔力の道があった。


「……見つけた」


ルーニーの声が低くなる。

イエガンもその魔力の流れを直接見ることはできないものの、ルーニーの表情から何かを掴んだことを察した。


「何が分かった?」


「この石は、魔力をどこかへ送ってる」


「送ってる?」


「うん。しかも一方向じゃない。森の奥にある何かと繋がってるみたいだ」


イエガンは黒い石を見つめた。

これまで見つけた黒い欠片が何なのか、少しずつ繋がり始めている。


「なら、その先を調べれば何か分かるかもしれねえな」


「そうだね。でも、ここからはもっと慎重に動こう」


ルーニーは立ち上がった。

その視線は、魔力の流れが続いている森の奥へ向けられている。


二人は黒い石をその場に残したまま、魔力の流れを追って歩き始めた。

石へ触れなかったのは、そこに何らかの仕掛けがある可能性を考えたからだった。


森の中を進むにつれて、魔力の反応は少しずつ強くなっていった。

それと同時に、周囲には獣の足跡も増えていく。


「かなり集まってるな」


イエガンが地面を見ながら呟いた。

足跡の数は先ほどの場所とは比べものにならず、複数の個体が何度もこの場所を往復していることが分かる。


「ここが、あの獣たちの行き先だったのかもしれないね」


「なら、近くに何かあるはずだ」


二人は足音を抑えながら先へ進んだ。

やがて、木々の向こうから微かな音が聞こえてくる。


金属が擦れるような音だった。

それに混じって、何かを低く呟くような声も聞こえてくる。


イエガンはすぐに手を上げた。

ルーニーも足を止め、音のする方向へ視線を向ける。


「人の声……か?」


「たぶんね」


二人は木の陰へ身を隠した。

そのまま慎重に前方を覗き込む。


木々の隙間から見えたのは、小さな開けた場所だった。

その中央にはいくつかの黒い石が並べられ、地面には複雑な魔術式が描かれている。


そして、その周囲には誰かがいる。

まだ姿までははっきりと見えない。


「……誰かいるな」


「うん。でも、まだ近づかない方がいい」


ルーニーが小声で答えた。

二人はその場から動かず、まずは相手の人数と様子を確認することにした。


まだ、相手はこちらの存在に気づいていない。

イエガンは拳を握りながら、静かに目の前の光景を見つめていた。


今回の調査で、初めて人の存在を確認した。

そして二人は、この先に自分たちが探していたものがあるのかもしれないと感じ始めていた。


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