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最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


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【第465話:帰還の知らせ】

山道を駆け下りたイエガンは、一度も足を止めなかった。

背後から追手が来ていないことは分かっていたが、それでも警戒を緩めることはできない。


採掘場で見たものは、それほどまでに重大だった。

あの場所で集められていた白い光と、仮面の男が口にした言葉が頭から離れない。


やがて山を下り、朝に通った街道へ戻る。

イエガンは周囲を確認してから、ようやく歩く速度を落とした。


「厄介な連中に見つかったもんだ」


大きく息を吐きながら、イエガンは空を見上げる。

太陽は既に高く昇っており、帰路を急がなければ王国へ戻るまでに時間が掛かる。


それでも、焦って判断を誤るつもりはなかった。

敵が追ってくる可能性を考えれば、身を隠しながら進む必要がある。


イエガンは街道を外れ、森の中へ入った。

人目につかない道を選び、時折木々の隙間から街道の様子を確認する。


しばらく進んだところで、背後に気配がないことを確かめた。

どうやら仮面の男たちは追撃してこなかったらしい。


「俺を逃がしたのか、それとも追う必要がないと思ったか」


どちらにしても気になる。

あれほどの力を持つ男なら、追おうと思えば追えたはずだった。


イエガンは足を止め、懐へ手を入れる。

取り出したのは、採掘場で見つけた小さな革袋だった。


黒い糸で縫い込まれた奇妙な模様が、陽の光を受けて浮かび上がる。

神殿跡で見つけた印と似ていることを思い出し、イエガンは眉を寄せた。


「これだけでも十分な情報になるな」


革袋を再び懐へしまう。

クロナへ報告する際には、今回の調査で何を見つけたのかを一つずつ整理して伝える必要がある。


北の山にある古い採掘場。

そこへ向かったイエガンは、途中で見つけた神殿跡を調べ、その周辺を利用していると思われる集団の存在を確認した。


黒いローブをまとった者たち。

その者たちは採掘場へ木箱を運び込み、何かを集めている様子だった。


さらに、その集団を率いていたと思われる仮面の男もいた。

男が口にした言葉から、彼らが何かを目覚めさせようとしていることも分かった。


そのために使われていたものが、あの白い光なのだろう。

クロナの胸に刻まれた白い紋様との関係については、まだ何も分かっていない。


イエガンは歩みを速める。


確証のない情報まで混ぜて報告するつもりはなかった。

特に、黒いローブの集団については、分かっていることと推測を分けて伝える必要がある。


姿こそ以前に聞いていた人さらいの組織と似ている。

だが、活動している場所も目的も異なっているため、系統の違う別組織と考えるべきだった。


夕方になる頃、イエガンは街道へ戻った。

そこからさらに進み、グリムファング王国へ向かう旅人たちの姿も少しずつ増えていく。


見慣れた景色が近付くにつれて、イエガンの表情にも僅かな安堵が浮かんだ。

ようやく戻ってこられたという実感が湧いてくる。


だが、安心している暇はない。

今回の調査で得た情報は、これまでとは比べものにならないほど大きかった。


王都へ到着したイエガンは、そのまま城へ向かう。

門番たちが獣人の大男の姿を認めると、すぐに道を開けた。


「イエガン殿、お戻りでしたか」


「おう。今戻ったところだ」


兵士へ短く返し、イエガンはそのまま城内へ入った。

普段なら軽口の一つでも叩くところだが、今はそれほど余裕がなかった。


今回の件を、できるだけ正確にクロナへ伝えなければならない。

それが今回、自分へ与えられた役目だった。


やがて目的の部屋の前へ辿り着く。


イエガンは扉の前で一度だけ深く息を吐いた。

そして拳を握り、静かに扉を叩く。


「クロナ様、戻りました」


中から返事が聞こえる。


「入れ」


イエガンは扉を開ける。

部屋の中にはクロナとティナがいた。


二人とも戻ってきたイエガンへ視線を向ける。

その表情から、何かしらの情報を持ち帰ったことを察したようだった。


イエガンは二人の前まで進むと、深く頭を下げる。


「ただいま戻りました。北の山にある採掘場を調べてきましたが、そこで少々気になるものを見つけました」


クロナの目が細くなる。

ティナも静かに姿勢を正した。


「何を見つけた」


クロナの問いに、イエガンは顔を上げる。


「北の山を調べている途中、古い神殿跡を見つけました。さらにその先に採掘場があり、そこを利用していると思われる集団を確認しました」


イエガンは一度言葉を切った。

クロナの反応を確認しながら、慎重に続きを口にする。


「黒いローブをまとった者たちです。人数もそれなりに多く、採掘場の中で木箱を運び込んでいました」


クロナは黙って話を聞いている。


「姿は以前の人さらいの連中と似ていますが、系統が違うようです。少なくとも、今回見た連中を同じ組織だと考えるのは早いと思います」


イエガンはそう告げると、懐から小さな革袋を取り出した。

そして、それを机の上へ静かに置く。


「これは採掘場で見つけたものです。神殿跡に残されていた印と似たものが使われています」


ティナが革袋へ視線を向ける。

その目が僅かに細くなった。


「それに、木箱の中から白い光が漏れているのも確認しました」


クロナの視線が革袋からイエガンへ移る。


「白い光……?」


「はい。詳しいことまでは分かりませんでしたが、あの連中はそれを集めているようでした」


イエガンはそこで一度息を吐く。


「そして、奴らは何かを目覚めさせようとしているようです」


部屋の空気が静かに変わった。


まだ情報は断片的だった。

それでも、北の山で何者かが何かを企てていることだけは明らかになった。


そして、その集団が集めている白い光が何なのか。

それがクロナの白い紋様と関係しているのか。


その答えを知るための調査が、ここから始まろうとしていた。


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