↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
463/488

【第462話:仮面の男】

重い扉が軋みながら開き、一人の男がゆっくりと姿を現した。

黒い外套を羽織り、白銀色の仮面で素顔を完全に隠している。


仮面には左右非対称の黒い紋様が刻まれていた。

その異様な姿に、坑道内の空気がさらに張り詰める。


黒いローブの者たちは誰一人として顔を上げない。


イエガンは岩陰へ身を寄せたまま、その男を観察する。

立ち姿に隙はなく、一歩踏み出すだけで周囲へ静かな威圧感が広がっていた。


戦い慣れた者だ。


それだけは一目で理解できる。

不用意に仕掛ければ、ただでは済まない相手だった。


仮面の男は運び込まれた木箱へ視線を向ける。


「確認は終わったか」


低く落ち着いた声が坑道へ響く。


一人の男が前へ進み出る。


「問題ありません。全て予定通りに集まりました」


仮面の男は静かに頷く。


「余計な痕跡は残していないな」


「はい。神殿跡も採掘場も処理は済んでおります」


その言葉に、イエガンの表情が僅かに変わる。


やはり神殿跡とこの採掘場は繋がっていた。

ここへ来た判断は間違っていなかった。


仮面の男は木箱の一つへ近付く。


細い手袋越しに蓋へ触れると、木箱の隙間から白い光が淡く漏れ始めた。

柔らかな光でありながら、不思議な圧力を周囲へ放っている。


仮面の男は小さく息を吐いた。


「これだけ揃えば十分だ」


その言葉に、周囲の者たちが安堵したように肩の力を抜く。


しかし、一人だけ表情を曇らせる男がいた。


「ですが、本当にあの御方は目覚めるのでしょうか」


坑道が静まり返る。


仮面の男はゆっくりと振り返った。


仮面に隠された表情は見えない。

それでも視線だけで周囲を圧倒するほどの威圧感があった。


「疑う必要はない」


短い一言だった。


その声には絶対的な確信が込められている。


誰も反論しない。


再び木箱を運び始める者。

周囲を警戒する者。


それぞれが無言で役目へ戻っていく。


イエガンはその様子を静かに見つめていた。


白い光を放つ木箱。

神殿跡との繋がり。

そして、仮面の男が口にした「あの御方」という存在。


新たな情報は手に入った。


だが、それ以上に気になる言葉が残る。


目覚める。


その一言は、この集団が何かを復活させようとしていることを示していた。


このまま見張り続けるべきか。

それとも一度クロナへ報告するべきか。


イエガンは冷静に状況を整理する。


敵の数は予想以上に多い。

正体不明の仮面の男までいる以上、単独で踏み込むのは無謀だった。


まずは情報を持ち帰る。

そう判断したイエガンは、音を立てないよう慎重に後退を始める。


その瞬間だった。


仮面の男が何の前触れもなく立ち止まる。

そして誰へともなく、小さく呟いた。


「……そこにいる者、姿を見せてもらおうか」


静まり返った坑道に、その声だけが冷たく響き渡った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。