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最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


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458/482

【第457話:橋の向こう側】

朝の冷たい空気が、宿場町を包んでいた。

まだ日が高く昇る前の時間で、街道を行き交う人の姿も少ない。


イエガンは宿を出ると、約束された場所へ向かって歩き始めた。

背中には大斧を背負い、周囲への警戒を一切緩めていない。


昨夜現れた二人組。

その目的も正体も、まだ分からない。


しかし、黒い布切れを見た瞬間の反応だけは確かだった。

あの者たちは何かを知っている。


イエガンは森の中を抜け、古い橋へ辿り着いた。

長い年月を経た石造りの橋で、ところどころにひび割れが入っている。


周囲には建物もなく、人の姿もない。

話をする場所として選ぶには、確かに都合の良い場所だった。


イエガンは橋の中央で立ち止まる。


「さて、どんな話を聞かせてくれるか」


独り言のように呟いた直後だった。


背後から足音が聞こえる。

イエガンは振り返る。


昨日の二人組が、森の奥から姿を現した。

細身の男は相変わらず灰色の外套を身にまとい、長い黒髪を後ろで束ねている。


隣にいる大柄な男は、無言のまま周囲を確認していた。

茶色の短髪に鋭い目付き、厚い革の防具を身に付けた姿から、戦闘経験が豊富であることが分かる。


細身の男はイエガンを見ると、小さく頷いた。


「時間通りだな」


イエガンは腕を組む。


「呼び出した理由を聞こうか」


男は少し笑う。


「せっかちな性格らしいな」


「必要な話なら聞く。違うなら帰るだけだ」


イエガンの言葉に、男は肩をすくめる。


「分かった。単刀直入に話そう」


男は周囲を確認してから、声を落とした。


「お前が調べている神殿跡には、以前から何者かが出入りしていた」


イエガンは黙って聞く。


「黒いローブを着た集団だ」


その言葉に、イエガンの目が細くなる。


「やはり知っていたか」


男は頷く。


「ああ。奴らは何かを探していた」


「ただの宝探しではない。古い記録や石板を調べていた」


イエガンは神殿で見た壁の文字を思い出す。


黒いローブの者たちは、力だけを求めていたわけではない。

過去に残された何かを探していた。


「何を探していた」


イエガンが尋ねる。

男は少し間を置いた。


「それは俺にも分からない。だが、一つだけ気になる話がある」


男は懐から小さな紙片を取り出した。

古びた紙には、見覚えのない記号のようなものが描かれている。


イエガンはそれを見る。

神殿で見つけた刻印と、どこか似ていた。


「これは何だ」


「昔、ある場所で見つけた印だ」


男は紙片を見つめながら続ける。


「黒いローブの連中も、同じ印を使っていた」


イエガンは静かに息を吐く。


少しずつだが、情報が繋がり始めている。


神殿。

黒いローブ。

謎の刻印。


まだ答えではない。

しかし、追うべき方向は見えてきた。


「その集団は今どこにいる」


イエガンが聞く。

男は視線を森の奥へ向ける。


「正確な場所は分からない」


「だが、奴らは北へ向かったという話を聞いた」


イエガンは北の方角を見る。

神殿よりさらに先。


まだ知らない場所へ、手掛かりは続いている。


「情報はそれだけか」


男は頷く。


「ああ」


「だが、一つ忠告しておく」


男の表情が少し険しくなる。


「奴らは普通の集団ではない」


イエガンは静かに笑う。


「それは最初から分かっている」


危険だから進まない。


そんな選択肢は、最初から存在していなかった。


クロナが守ろうとしているもの。

そして、その背後にあるもの。


それを知るためなら、どれだけ険しい道でも進むだけだった。


男たちと別れた後、イエガンは一人で北へ向かう。

手元に残った新たな情報を確かめるために。


まだ見えない敵の姿。


それでも、追うべき影は少しずつ形を持ち始めていた。


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