【第449話:凱旋と報告】
翌朝。
クロナたちは長い山道を越え、グリムファングの城壁が見える場所まで戻ってきた。
朝日に照らされた王都は、戦いの気配など感じさせない穏やかな姿を見せている。
「ようやく戻ってきましたね」
ティナが小さく微笑む。
イエガンも肩の力を抜く。
「こうして無事に帰れるのは、何よりです」
クロナは城門を見つめる。
今回の戦いは終わった。
だが、胸の白い紋様と灰色の紋章に残された謎は何一つ解決していない。
「まずは報告だ」
クロナが歩き出す。
城門を守っていた兵士たちは、クロナたちの姿を見つけると目を見開いた。
「クロナ様がお戻りになったぞ!」
一人の兵士が大きな声を上げる。
その声は瞬く間に城内へ広がっていく。
兵士たちは次々と頭を下げる。
「お帰りなさいませ!」
クロナは軽く頷き、そのまま城内へ入る。
途中、城で働く者たちも足を止めていた。
安堵する者、尊敬の眼差しを向ける者、その誰もがクロナたちの帰還を歓迎していた。
「皆、心配していたようですね」
ティナが静かに呟く。
「ああ」
クロナは短く答える。
「今回は時間が掛かったからな」
やがて三人は謁見の間へ到着する。
扉がゆっくりと開かれた。
待っていた幹部たちは、一斉にクロナへ視線を向ける。
「ご無事で何よりです」
その言葉に、クロナは静かに頷いた。
「門は閉じた」
その一言で、場の空気が変わる。
誰もが安堵の表情を浮かべた。
だが、クロナは続ける。
「……だが、新たな問題も見つかった」
その言葉に、幹部たちの表情が引き締まる。
ティナが一歩前へ出る。
「今回の件について、ご報告したいことがあります」
「世界律評議会の古い記録にも関わる可能性があります」
静まり返る謁見の間。
クロナは胸の白い紋様へそっと触れる。
この力の正体、そして自分だけが選ばれた理由。その答えを知るための戦いは、まだ始まったばかりだった。




