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最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


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【第438話:封印の継承者】

谷へ響いた低い声。

その一言だけで大気が震え、岩肌へ無数の亀裂が走る。

本体はついにクロナを認識した。


クロナは赤い瞳を見据える。

伸ばした右手はそのまま動かさない。

白い紋様は静かに輝き続けていた。


「貴様が……新たな封印か」


重苦しい声が再び響く。

裂け目の奥で巨大な気配が蠢く。

世界そのものが軋んでいた。


クロナは口元を吊り上げる。

威圧に飲まれることはない。

むしろ闘志が高まっていく。


「そうらしいな」


短く答える。

その声には一切の恐れがなかった。

赤い瞳が僅かに揺れる。


ティナは二人のやり取りを見守る。

本体は今まで誰とも会話をしていない。

クロナだけを特別視していた。


「クロナ様」


ティナが静かに声を掛ける。


「本体は封印の継承を理解しています。だからこそ直接話し掛けています」


イエガンは周囲を警戒する。

分身体はまだ谷を埋め尽くしている。

油断すれば一瞬で囲まれる状況だった。


「ティナ。周りは俺が抑える」


ティナは頷く。

解析と観察を続ける。

今は一つでも多く情報が必要だった。


赤い瞳が細くなる。

黒い門全体が大きく脈動した。

巨大な黒い手へさらに魔力が流れ込む。


「人の身で封印を継ぐとは愚かな」


低い声が響く。

その言葉には嘲笑が混じっていた。

長い年月を生きた存在の余裕だった。


クロナは静かに笑う。

敵が言葉を重ねるほど焦りが見える。

それが分からないほど甘くはない。


「随分と余裕がねえみてえだな」


赤い瞳が鋭く光る。

黒い門が激しく震えた。

明らかに怒りを見せている。


ティナはその変化を見逃さない。

本体の魔力が乱れている。

感情によって制御が揺らいでいた。


「クロナ様!」


ティナが声を張る。


「今です! 本体の魔力制御が乱れています!」


クロナは右手を門の中心へ押し込む。

白い光が一気に広がる。

封印の力が黒い魔力を押し返していく。


黒い門が軋む。

裂け目全体へ白い紋様が浮かび上がる。

封印が再び力を取り戻し始めた。


巨大な黒い手が苦しむように震える。

指先から白い光が広がる。

侵食するように封印が進んでいた。


イエガンは分身体を薙ぎ払い続ける。

クロナへ近付く敵は一体も通さない。

その背中には迷いがなかった。


「クロナ様! こちらは心配いりません!」


クロナは小さく頷く。

仲間たちが時間を稼いでくれている。

だからこそ全力を注げた。


その瞬間。

赤い瞳の奥で禍々しい紋様が浮かび上がる。

本体はさらに深い力を解放しようとしていた。


裂け目の最奥から。

今まで封じられていた巨大な第二の腕がゆっくりと姿を現し始める。


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