表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
436/439

【第435話:抗う本能】

赤い瞳が苦痛に歪む。

巨大な頭部は後退しながらも裂け目の奥へは戻らない。

封印へ抗う意志だけは微塵も衰えていなかった。


クロナは白い光を纏った拳を静かに握る。

胸の紋様は先程より強く脈打っている。

封印の力が完全に馴染み始めていた。


ティナは裂け目を見据える。

本体の魔力の流れを観察する。

そこには新たな異変が生じていた。


「クロナ様」


ティナが真剣な表情で口を開く。


「本体は封印を押し破るのを止めています。今は別の方法へ切り替えようとしています」


イエガンは裂け目へ視線を向ける。

巨大な頭部は動きを止めていた。

その静けさがかえって不気味だった。


「嫌な予感しかしませんね」


ティナは小さく頷く。

敵は力任せではない。

状況に応じて最適な手段を選ぶ存在だった。


赤い瞳が静かに閉じる。

裂け目の奥から黒い霧が溢れ出す。

それは谷全体を覆うように広がり始めた。


クロナは眉をひそめる。

霧そのものに攻撃性は感じない。

だが胸の紋様は激しく反応していた。


「来るぞ」


クロナは短く告げる。

白い光が自然と身体を包む。

封印の力が警鐘を鳴らしている。


黒い霧が地面へ降り積もる。

次の瞬間、谷中の岩陰から無数の影が立ち上がった。

どれも異形と酷似した姿をしている。


ティナは目を見開く。

先程まで存在しなかった反応だった。

裂け目から直接生み出されている。


「分身体です!」


ティナが叫ぶ。


「本体は自分の代わりに分身体を送り込んできました!」


イエガンは大斧を構え直す。

周囲を取り囲む敵は数え切れない。

谷が黒い影で埋め尽くされていく。


「数で押すつもりですか」


クロナは静かに笑う。

むしろ敵が焦っている証拠だった。

本体自身では突破できないからこその策である。


一体の分身体が飛び掛かる。

続いて二体、三体と殺到した。

漆黒の波がクロナたちへ押し寄せる。


クロナは拳を振るう。

白い光を纏った一撃が分身体を貫く。

触れた影は音もなく霧となって消えた。


ティナはその様子を見つめる。

本体ほどの強さはない。

だが数が異常だった。


「クロナ様!」


ティナが声を張る。


「本体は時間を稼いでいます! このままでは封印が削られ続けます!」


クロナは裂け目の奥を睨む。

赤い瞳は再び静かに開いていた。

その視線の奥には明確な狙いが見えている。


「なら答えは一つだ」


クロナは大地を蹴る。

迫る分身体を真正面から突き破る。

一直線に裂け目へ向かって駆け出した。


その瞬間だった。

裂け目の両脇から巨大な黒い門がゆっくりと姿を現す。

本体はさらに新たな封印破壊の仕掛けを動かし始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ