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最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


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433/435

【第432話:継承の証】

裂け目から伸びた巨大な黒い腕。

それだけで谷全体が激しく揺れ始める。

空間そのものが悲鳴を上げていた。


クロナは静かに黒い腕を見据える。

胸に刻まれた白い紋様は淡く輝き続けている。

身体の奥へ新たな力が流れ込んでいた。


ティナはクロナを見つめる。

継承された力を解析しようと試みる。

だが途中で思わず息を呑んだ。


「信じられません」


ティナが小さく呟く。


「クロナ様の魔力と封印の力が拒絶せずに融合しています」


イエガンはクロナの背中を見る。

先程までとは雰囲気が違う。

その背中から放たれる圧力が一段階増していた。


「さすがクロナ様ですね」


クロナは拳をゆっくりと握る。

白い光が指先へ集まり始める。

雷や炎とも自然に溶け合っていた。


「これが封印の力か」


クロナは小さく笑う。

暴れるような力ではない。

全てを鎮める静かな力だった。


巨大な黒い腕が振り下ろされる。

山ほどもある腕が谷を覆い尽くす。

逃げ場など存在しない一撃だった。


イエガンが前へ踏み出す。

大斧を構え、迎え撃とうとする。

その瞬間だった。


「下がれ」


クロナが静かに告げる。


イエガンは迷わず後退する。

その声だけで十分だった。

クロナが勝算を掴んでいると信じていた。


クロナは右手を前へ突き出す。

白い紋様が一斉に輝きを増す。

谷全体へ静かな光が広がった。


巨大な黒い腕が触れる。

轟音が響くはずだった。

しかし何も起こらない。


黒い腕は止まっていた。

白い光へ触れた部分から動きを失っていく。

まるで時間が止まったようだった。


ティナは目を見開く。

破壊ではない。

消滅でもない。


「封じています」


ティナは確信する。


「存在そのものを抑え込んでいます!」


巨大な黒い腕が激しく震える。

裂け目の奥から怒りの咆哮が響き渡る。

封印に抗おうとしている。


クロナは一歩踏み出す。

白い光はさらに強く輝く。

黒い腕へ亀裂が走り始めた。


「なるほどな」


クロナは静かに笑う。


「この力は壊すためじゃねえ」


白い光が黒い腕を包み込む。

暴れていた巨大な腕が少しずつ縮んでいく。

裂け目の奥へ押し戻され始めた。


ティナはその光景を見つめる。

継承された力の本質を理解する。

これは敵を滅ぼす力ではない。


「クロナ様!」


ティナが声を上げる。


「封印の力が本体へ届いています!」


裂け目全体が激しく震える。

黒い奔流が逆流し始める。

封印は確かに本体へ届いていた。


その瞬間だった。

裂け目の奥で巨大な赤い瞳がゆっくりと開く。

本体は腕だけではなく、自ら姿を現そうとしていた。


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