表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
420/432

【第419話:無数の視線】

黒い光が谷全体へ降り注ぐ。

異様な静寂が一瞬だけ辺りを支配した。

その直後だった。


谷の岩壁に目が開く。

地面にも目が開く。

空間そのものにも目が現れ始めた。


ティナは息を呑む。

開いた目の数は数百では利かない。

今もなお増殖を続けていた。


「これは……召喚ではありません」


ティナは周囲を見渡す。

どこを見ても目が存在している。

異形たちのものと同じ気配だった。


「どういうことだ」


クロナが問い掛ける。


「おそらく観測です。谷全体を異形の領域へ変えています」


イエガンが顔をしかめる。

理解はできなくとも危険だけは伝わった。


「つまり嫌な能力ってことだな」


「かなり嫌な能力です」


ティナは即答した。

その表情には焦りが浮かんでいる。


新たな目が一斉に瞬く。

直後に空間が歪んだ。

谷中で無数の亀裂が発生する。


クロナは即座に跳んだ。

イエガンも反応する。

二人のいた場所が消滅した。


爆発ではない。

切断でもない。

存在そのものが失われている。


ティナは歯を食いしばる。

先程までとは明らかに違う。

攻撃範囲が比較にならないほど広がっていた。


「クロナ様!」


ティナが叫ぶ。


「目を壊してください!」


クロナの視線が周囲を走る。

谷を埋め尽くす黒い目がこちらを見ていた。


「全部か」


「全部です」


クロナは笑った。

普通なら絶望する状況だった。

だが彼にとっては違う。


「面白え」


雷が弾ける。

炎が噴き上がる。

影が巨大な翼のように広がった。


クロナは空へ飛ぶ。

そのまま谷全体を見下ろした。


目の数はさらに増えている。

放置すれば状況は悪化する一方だった。


クロナは両腕を広げる。

全身へ膨大な魔力を巡らせた。

周囲の空間が震え始める。


ティナはその力に目を見開く。

クロナが本気を出そうとしていた。


「イエガン!」


クロナが叫ぶ。


「一体目を止めろ。俺は目を消す」


「任せろ!」


イエガンが地面を蹴る。

巨体が砲弾のように突撃した。

大斧が一体目の異形へ叩き込まれる。


異形の外殻が明滅する。

亀裂も少しずつ広がっていた。

代償は確実に蓄積している。


その間にクロナが力を解放する。

雷が天を覆った。

炎が雲を焼く。


影が無数の槍へ変化する。

谷全体を覆うほどの規模だった。


「吹き飛べ」


静かな声だった。


次の瞬間。

無数の影槍が降り注ぐ。

谷中の黒い目へ襲い掛かった。


目が破壊される。

一つ。

十。

百。


しかし。


ティナの表情が凍り付く。

破壊された目の跡から。

新たな目が再び開き始めていた。


「再生している……」


その言葉と同時に。

二体の異形が初めて同時に笑ったように見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ