表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
418/432

【第417話:増殖する絶望】

空間の裂け目から現れた第二の異形を見て、谷に重い沈黙が落ちた。

最初の異形と酷似しているが、完全に同じ存在ではないようだった。

無数の目の配置も外殻の形状も微妙に異なっている。


ティナは険しい表情で新たな異形を観察する。

嫌な予感が確信へ変わりつつあった。


第二の異形がゆっくりと地面へ降り立つ。

その瞬間、周囲の岩盤が砕け、巨大な亀裂が走った。

存在するだけで世界へ干渉している。


イエガンが大斧を握り直した。

先程まで見えていた勝機が急速に遠ざかっていく。

額には珍しく汗が浮かんでいた。


「冗談じゃねえな。ようやく一体の攻略法が見えたと思ったら増えるのか」


クロナは異形たちを見据えたまま笑う。

その表情から恐怖は微塵も感じられない。


「面白えじゃねえか」


ティナは思わず溜息を吐いた。

この状況で笑えるのはクロナだけだろう。

しかし、その姿に救われてもいた。


第二の異形が腕を持ち上げる。

空間が歪み、無数の黒い槍が空中へ出現した。

空を覆い尽くすほどの数だった。


「来ます!」


槍の雨が降り注ぐ。

クロナは前へ飛び出し、拳へ雷を集中させた。


閃光が走る。

迫る槍の群れが次々と砕け散った。

炎と影も巻き込みながら空を薙ぎ払う。


イエガンも大斧を振るう。

巨大な衝撃波が槍を吹き飛ばした。

だが全ては防ぎ切れない。


数本の槍が地面へ突き刺さる。

着弾地点の岩盤が丸ごと消滅した。

爆発ですらない異常な破壊だった。


ティナはその光景を見ながら思考を巡らせる。

異形が増えた事実より気になることがあった。

先程生じた亀裂である。


一体目の異形を見る。

胸部の亀裂は消えていなかった。

今も確かに残っている。


「クロナ様…!」


ティナが呼ぶ。


「どうした」


「亀裂が再生していません」


クロナも視線を向ける。

確かに傷は残っていた。


完全無欠だった存在に刻まれた痕跡が消えていない。


「代償は蓄積しているということか」


「おそらく間違いありません」


ティナは断言した。

結果を書き換えても消費した力までは戻せない。

それが見えてきた。


クロナの笑みが深くなる。

突破口はまだ消えていない。


二体の異形が同時に動く。

谷全体を覆うほどの圧力が放たれた。

空間そのものが悲鳴を上げる。


黒い亀裂が大地を走る。

岩山が消滅し、谷の形が変わっていく。

周囲はもはや戦場ですらなかった。


クロナは真正面から突撃する。

雷と炎と影を同時に解放した。

全ての力を拳へ集中させる。


拳が一体目の異形へ直撃する。

結果は変わらない。

傷は広がらなかった。


しかし外殻が激しく明滅する。

今までで最も不安定な光だった。

代償は確実に積み上がっている。


その時だった。

二体目の異形がゆっくりとティナへ顔を向ける。

無数の目が一斉に開いた。


ティナは表情を曇らせる。

嫌な予感が現実になった。


「また私ですか」


一体目も同じだった。

二体目もまたティナを見ている。

標的は明らかだった。


クロナもその意味を理解する。

力ではない。

知恵こそが異形にとって最大の脅威なのだ。


「ティナから離れるな」


イエガンが前へ出る。


「言われなくても離れませんよ」


二人が構える。

その直後、異形たちの前に巨大な魔法陣が展開された。


先程の術式とは比較にならない。

谷全体を覆い尽くすほどの規模だった。

複雑な紋様が空中へ広がっていく。


ティナの顔色が変わる。

クロナも初めて笑みを消した。

本能が危険を告げていた。


異形たちの外殻が同時に明滅する。

膨大な代償を支払いながら術式を維持している。

それでも止める気配はない。


魔法陣が完成へ近付く。

空が黒く染まり始めた。

谷全体を巻き込む災厄が降りようとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ