表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱から始めるゴブリン成り上がり譚 〜進化する俺はもう雑魚とは呼ばせない〜  作者: AI+


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
396/440

【第395話:積み重なる報告】

朝の陽光が窓から差し込み、広間の床を静かに照らしていた。

グリムファングの本拠地には、各地から戻った者たちの気配が集まり始めていた。


クロナは玉座に腰掛けながら、机の上へ積まれた報告書へ目を向ける。

その表情は穏やかだったが、視線だけは鋭かった。


各地で起きている変化は確実に増えている。

それらを見落とせば、いずれ王国そのものに影響が及ぶ。


そんな中、広間の扉が開いた。

足音と共に一人の少女が姿を現す。


銀色の髪を揺らしながら歩いてきたのはティナだった。

長旅の疲労を感じさせない足取りだった。


「戻りました、クロナ様」


クロナは小さく笑みを浮かべた。

ティナが無事に帰還したことを素直に喜んでいた。


「おかえり。思ったより早かったな」


「予想よりも成果がありましたので」


ティナはそう答えながら数枚の資料を差し出した。

クロナはそれを受け取り、順番に目を通していく。


そこには各国の動向が整理されていた。

ティナが本来の目的として集めていた情報である。


「なるほどな」


クロナは一枚の資料で手を止めた。

そこには周辺諸国の反応が記されていた。


多くの国がグリムファング王国の存在を既に把握していた。

しかも想像以上に詳しい情報まで広がっている。


「国の成立そのものは、ほぼ全域へ伝わっています。

ただし認識は統一されていません」


ティナは報告を続けた。

その声は落ち着いていた。


ある国は新興国家として警戒している。

ある国は交易相手として興味を示している。


さらに一部では魔物国家というだけで敵視する動きも見られた。

情報は広がっているが、評価は国ごとに大きく異なっていた。


「予想通りといえば予想通りだな」


クロナは資料を机へ戻した。

焦りの色は見えない。


むしろ王国が周囲へ認識され始めたことを確認していた。

避けられない変化として受け止めている。


「興味深いのは別件です」


ティナはさらに一枚の紙を差し出した。

今回の誘拐事件に関する情報だった。


「この報告書の組織についてか」


「はい。

捕らえた人物の証言と現地の情報を照合しました」


ティナは短く区切った。

それから静かに続ける。


「同様の実験を行っていた痕跡が複数見つかっています。

今回の拠点だけで終わる話ではなさそうです」


クロナの眉がわずかに動いた。

それは無視できない情報だった。


「規模はどの程度だ」


「断定はできません。

ただ、今回潰した場所が全体の一部である可能性は高いです」


広間の空気が少しだけ重くなる。

未知の組織が残っている可能性が浮かび上がったからだ。


その時だった。

別の足音が近づいてくる。


広間へ入ってきたのはイエガンだった。

大柄な体を揺らしながら真っ直ぐ歩いてくる。


「クロナ様。ティナが帰還したと聞いたので参りました」


「おう。

ちょうど今報告を受けてたところだ」


イエガンはティナへ視線を向けた。

ティナも軽く会釈を返す。


「随分働いたみたいだな」


「成り行きで面倒事に巻き込まれただけです」


「その面倒事を毎回解決して帰ってくるからな」


イエガンは苦笑した。

ティナも小さく息を吐いた。


本来の目的は各国の動向調査だった。

それだけで終わるはずだったのである。


だが結果として誘拐組織の拠点まで突き止めた。

さらには村人たちの救出まで成し遂げている。


「十分な成果だろ」


クロナは椅子にもたれながら言った。

王としてではなく仲間としての言葉だった。


「各国の反応も把握できた。

誘拐事件も解決した」


「確かに成果はありました」


ティナは頷いた。

しかしそこで話を終わらせなかった。


「ですが、まだ終わっていません」


クロナが少しだけ笑う。

イエガンも同じような表情になった。


二人とも次の言葉を予想できていた。

ティナが途中で満足する性格ではないからだ。


「組織の全容はまだ見えていません。

背後関係も不明です」


「なるほどな」


「今回得られた情報は入口に過ぎません。

追えばさらに何か見つかると思います」


広間に静かな空気が流れる。

しかし重苦しさはなかった。


未知の脅威がある。

それは確かだった。


だが同時に、確実に前進していることも事実だった。

何も掴めないまま終わったわけではない。


グリムファング王国の名は既に各国へ広がっている。

そして新たな火種もまた、その姿を少しずつ現し始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ