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『Loser?!三国志の袁紹軍で死体拾いから天下を目指す~瀕死の顔良と文醜を仲間にして、第四の勢力を興す~』  作者: 倦犬Kenken


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延津渡

収屍隊の駐屯地は、前線に近すぎてもいけないし、後方に下がりすぎてもいけない。


前に出すぎれば、敵の攻撃に巻き込まれる。かといって後ろに下がりすぎれば、戦場で倒れた兵士や放置された物資を回収するという本来の役目を果たせなくなる。


しかも、袁軍には収屍隊の配置を細かく指揮する主将や軍師などいない。どの部隊がどこに駐屯するかも、基本的には現場任せだった。空いている場所を見つけ、自分たちで陣地を確保するしかない。


仕事である遺体の回収も同じだ。


戦闘が一段落した隙に、敵味方の収屍隊が同じ場所で作業することもある。あるいは、敵の目を避けながら、回収できる機会をうかがうこともある。


敵味方の将軍たちは、相手の収屍隊に対して比較的寛容な場合が多い。戦場の後始末をする者たちまで無闇に攻撃する必要はない、という考えがあるのだろう。


だが、それが現場の兵士全員に通じるわけではない。


戦いの中で仲間を失い、怒りに我を忘れた兵士や十人隊長、百人隊長といった下級将校の中には、目の前にいる者を敵と見れば容赦なく襲いかかる者もいる。相手が収屍隊であろうと、突撃部隊であろうと関係ない。目の前で袍沢を倒された怒りが、理性を失わせることもある。


だから、収屍隊の仕事は決して安全ではなかった。


俺たちが駐屯地に選んだのは、沼地のそばだった。文醜の護衛部隊の駐屯地からはそう遠くなく、曹操軍の大営からも、それほど離れてはいない。


周囲を見渡すと、緩やかな斜面が遠くまで続いている。地形は大きく見ると、ゆっくりと開いたV字形を描いていた。


曹軍は、その向こう側にある緩やかな斜面に陣を構えている。


こちらから敵陣へ攻め込むには、まず両軍の間にある一、二里ほどの谷間を通り抜けなければならない。


遠くから眺める限り、曹軍の陣営にいる兵士はそれほど多くない。せいぜい一万前後だろうか。軍旗もまばらで、どこの部隊が守備についているのか、はっきりとは分からない。おそらく、偏将級の将軍が一人か二人、守りを任されている程度なのだろう。


軍馬の数も少なく見える。遠目には、さほど強そうな陣容には思えなかった。


明日の朝、劉備の一万余りの兵が合流すれば、こちらには五万を超える兵力が集まる。これだけの兵で一気に攻めかかれば、曹軍などひとたまりもない――普通に考えれば、そう思うはずだった。


だが、俺にはそうは思えなかった。


実際の戦史を知っているから、というだけではない。これまで集めてきた情報からも、曹軍が見せている姿と実際の戦力には、大きな隔たりがあると考えていた。


さらに、数日前の月明かりの夜、俺は自分の目と耳で曹軍の複数の部隊が移動する様子を確かめている。歩兵、騎兵、そして車両を伴った部隊。それぞれ装備も行軍の様子も異なっていた。いずれも、ただの寄せ集めではない。よく訓練された精鋭部隊だった。


それらの部隊が、今どこにいるのか。


目の前の陣営だけを見ていても、答えは出ない。


曹軍の陣地の背後には、こちらと同じように緩やかな斜面が広がっている。ただし、その半分ほどは林に覆われていた。


もし、あそこに伏兵が潜んでいるとしたら……。


少なくとも、数部隊を隠しておくには十分な広さがある。


遠くから見える一万の曹軍だけが、敵の全てだと思ってはいけない。


むしろ、そう思わせることこそが、曹操の狙いなのかもしれなかった。

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