収死連隊の出発だ
私たち七十七名の収屍隊員は、顔良の陣営からそれほど遠くない場所にある、収屍総隊の集合地点へ向かった。
すでに徐進千夫長のもとには、各部隊の収屍兵が集まり始めていた。
私たちが到着すると、徐進は少し意外そうな顔をした。
「おや、お前も来たのか」
そう言いながら手招きし、私たちに近くへ集まるよう指示した。
周囲を見回して、私は少し驚いた。
集まっている収屍兵は、八百人を超えているようだった。どうやら、収屍総隊のほぼ全員が動員されたらしい。
私自身は顔良の陣営に配置されていた。顔良の顔を立てる意味もあって、特別に一小隊を出すよう命じられたのだろう。徐進も、私がここまで来るとは思っていなかったのかもしれない。
それにしても、改めて見ると、収屍隊というのは袁紹軍の中でも本当に扱いの低い部隊だった。
兵士たちはばらばらに集まり、整列する気配もない。あちこちで大声が飛び交い、互いに怒鳴り合ったり、言い争ったりしている。誰かが指示を出しても、聞いている者はほとんどいない。
武器を持っていない者も少なくなかった。
さらに、長い間、遺体の回収を仕事にしてきた部隊だけあって、周囲には死臭が漂っていた。
隊旗もひどい有様だった。布はあちこち破れ、色も褪せている。かろうじて「徐」という文字が読み取れる程度だった。
これが袁紹軍の収屍総隊なのかね。
ただ、一つだけ妙なことがあった。
私が乗っているのは、いつもの驢馬だった。しかし、私以外の中隊長以上の者は、全員が馬に乗っている。
馬の質は決してよくない。痩せていたり、脚が細かったりする馬も多く、どう見ても一級品とは言えない。それでも、馬は馬だ。
徐進も私の驢馬に気づいたらしい。
「お前、どうして馬に乗らないんだ? 以前、黄皮にお前のためにちゃんとした馬を用意させたはずだが」
その言葉を聞いて、私は思わず苦笑した。
そういえば、あの時のことだ。
黄皮は、いかにも自分が立派な馬を用意したかのように振る舞っていた。ところが、実際に私のもとへ届けられたのは、この驢馬だった。
しかも、当の黄皮はというと、今、私たちからかなり離れたところにいる。こちらの話が聞こえないほど遠くにいるように見えた。
その周囲を見ると、黄皮だけではない。小隊長たちも大半が馬に乗っていた。馬の質は似たり寄ったりで、決して立派なものではないが、やはり馬は馬である。
それを見た老陳が、とうとう我慢できなくなった。
「この馬鹿野郎! あの時、徐進千夫長には驢馬を用意したと嘘をついて、頭領の昇進祝いの馬を驢馬にすり替えたんだろう!」
老陳の声は、黄皮にも聞こえるほど大きかった。
私は苦笑しながら、老陳をなだめた。
「まあ、いいじゃないか。馬だろうと驢馬だろうと、俺たちは戦場の最前線で敵と正面から戦うわけじゃない。今さら騒いでも仕方がない。大人の対応をしよう」
老陳はまだ不満そうだったが、それ以上は何も言わなかった。
そんなやり取りをしている間にも、集合場所はますます騒がしくなっていった。
兵士たちは好き勝手に話し、馬を引く者もいれば、荷物を背負ったまま歩き回る者もいる。隊列を整えるどころか、誰がどこにいるのかさえ、はっきりしない。
やがて、徐進が大きな声で指示を出した。
「出発するぞ!」
その声を合図に、ようやく一同が動き始めた。
しかし、整然とした行軍とはほど遠い。
八百人を超える収屍兵たちは、隊列らしい隊列も作らず、ばらばらのまま動き出した。まるで難民の群れが移動しているかのようだった。
こうして私たちは、延津方面へ向かって歩き始めた。




