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『Loser?!三国志の袁紹軍で死体拾いから天下を目指す~瀕死の顔良と文醜を仲間にして、第四の勢力を興す~』  作者: 倦犬Kenken


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月下の偵察


夕食を済ませた俺は、華陰と華安の医療救助小隊が顔良の傷の手当てをする様子を見に行った。


以前は俺が直接、顔良の傷の具合を確認し、薬を取り替えていた。しかし今では、その仕事も華陰たちに任せられるようになっている。


俺は華陰が手際よく包帯を交換するのを見守り、その後、顔良としばらく話をした。


やがて自分の天幕へ戻り、休もうとしたのだが、どうにも寝つけなかった。


延津のことが頭から離れない。


顔良も沮授も、そして顧墨も、曹軍の動きに何か違和感を覚えている。もし本当に何かが起きようとしているのなら、のんびり眠っているわけにはいかない。


俺は外へ出て、気分転換に少し歩くことにした。


あてもなく歩いているうちに、いつの間にか顧墨の天幕の前まで来ていた。


中を覗くと、ちょうど顧墨が外出の支度を終えたところだった。腰には刀を帯び、身なりも整えている。


「こんな時間に、どこへ行くつもりだ?」


俺が尋ねると、顧墨は驚く様子もなく、こちらを振り返った。


「頭領。顔良将軍も含め、皆、心のどこかでは我々が大げさに騒いでいると思っているようです。延津には何も起きない、と」


顧墨は少し声を落とした。


「ですが、兵士たちの話を聞いていると、最近、夜更けになると対岸で曹軍の部隊が動いているそうです。しかも、東の方へ向かっているという話が何度も出ています。今夜は自分の目で確かめてこようと思いまして。いったい、どのような動きをしているのか」


俺は心の中で小さく頷いた。


なるほど。顧墨も気づいていたのか。


今夜は月明かりも明るい。偵察に出るには悪くない夜だ。


「それなら、俺も一緒に行こう。月見がてら、前線の様子を見に行くのも悪くない」


顧墨は少し考えた。


「では、鉄牛も連れていきましょう。それから孫江用と孫新港にも声をかけます。曹軍の小部隊と鉢合わせする可能性もあります。万が一、敵に絡まれたとき、少人数では身動きが取れなくなりますから」


俺としては、顧墨と二人で前線を少し見てくる程度のつもりだった。


だが、彼は俺の安全まで考えて、最初から慎重に人員を揃えるつもりらしい。ここまで言われては、無理に止めるわけにもいかなかった。


ほどなくして、鉄牛が孫江用、孫新港、それに収屍隊から選んだ屈強な兵士十数人を連れて集まってきた。


出発して間もなく、老陳も後から追いついてきた。



出発にあたり、俺は皆に告げた。


「今夜の行動はすべて顧墨の指示に従うこと。勝手な行動はするな。敵を見つけても、こちらから手を出すな。目的は偵察だ。戦いに行くわけではない」


皆が頷いたのを確認すると、俺たちは南へ向かった。


今夜は月が明るかった。


北国の晩秋はすでに霜の降りる季節に入っている。昼間はまだ耐えられる寒さでも、夜半ともなれば、冷気が衣服を通り抜け、骨の髄にまで染み込んでくる。


俺たちは声を潜めながら、半刻ほど歩いた。


やがて、曹軍と対峙する前線に近づいた。両軍が互いに暗黙の了解としている境界線のような場所で、俺たちはいったん足を止めた。


月は空の高いところにあり、雲一つ見当たらない。


北国の大地は静まり返り、まるで天上の世界のように美しかった。


もし神というものが本当に存在するのなら、この静寂と美しさの下に、人間たちのどれほど多くの思惑や策略が隠されているのか、知っているのだろうか。


俺たちは再び身を低くし、両軍の間に広がる無人地帯へと足を踏み入れた。


そこからさらに四、五里ほど進んだ。


これ以上先へ進めば、敵の斥候と遭遇する危険が高くなる。


顧墨が手を上げた。


全員がその場で立ち止まる。


顧墨は俺のそばへ来ると、耳元で囁いた。


「ここでしばらく待ちましょう。皆、目立たない場所で休みながら、耳を澄ませてください。まずは少し仮眠を取って、敵の動きがあればすぐに対応できるようにします」


俺はその判断に頷き、皆に伝えた。


それから、いつの間にか眠ってしまったらしい。


誰かに肩を揺すられ、俺は目を覚ました。


目の前には顧墨がいた。


暗闇の中でも分かるほど、その目は鋭く輝いている。


「頭領……聞こえますか?」


俺はまだ寝ぼけた頭を振り、耳を澄ませた。


しかし、最初は何も聞こえなかった。


聞こえるのは、すぐそばで響く鉄牛のいびきばかりだ。


「おい、鉄牛! さっさと起きろ!」


老陳が鉄牛の足を蹴った。


「お前のいびきのせいで、曹軍の情報を探るどころか、こっちが敵の斥候に見つかっちまうぞ!」


「う……何だ? 敵か!?」


鉄牛は寝ぼけたまま大声を上げかけたが、老陳に睨まれ、ようやく口を閉じた。


俺は苦笑しながら、顧墨が指さす方向へ目を向けた。


最初は、何も見えなかった。


だが、目を凝らし、耳を澄ませているうちに、少しずつ音が聞こえてくる。


遠くから、かすかな足音と車輪の響きが伝わってきた。


やがて、その音は次第にはっきりしていく。


暗闇の向こう、月明かりの下に、ゆっくりと移動する人影が見え始めた。


どうやら、曹軍の部隊が動いているらしい。

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