表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
関ヶ原  作者: 花野 夢
7/15

第七話

会議が終わり、一段落したところ。

家康は一人で部屋にいた。

戦略を考える為だろう。


この遊戯をするのは誰もが初めて。

もう一度、決まりを確認する必要がある。

だが、経験が一度もないなか必ず勝てる方法など決まっている。

悪計を働くしかない。それは決まりだ。

だが、このことを儂が聞きに行っても一筋縄では教えてくれまい。

そもそも決まりは一度しか言わないと言っていたはずだ。

待てよ、大将と言っていたはずだ。

大将というと、家康と三成。

つまり、それ以外と人物はいいのか。

いや、いいのだ。

輝政に聞きに行かせよう。


さっそく、輝政を部屋に呼んだ。

「親父殿、お呼びですか」

また、少しばかり遅い。督姫のとこにいたのではないか、と家康は疑う。

少しイラついたが、今は怒っているときではない。

「輝政、政宗殿のところにいって決まりを聞いて来い」

家康の言葉に驚いた。

それはいけないのではないか、と思う。

決まりは一度しか言わないと言われたのだから。

「それならば、もう一度皆を集めるでござる」

こいつは本当の阿呆なのではないか、と家康は思う。

そんなことをしては、戦略の意味がないだろう。

「そんなことをしてはならん。決まりを聞くだけではなく、策もしっかり聞いてくるのじゃ」

「なっ!そんなことをしては西軍が不利になってしまいまする!この遊戯は、それをなくすために決められたものでござりましょう!」

こいつは本当の阿呆だ、と確信した。

「いいか、輝政。儂の話をよく聞け」

家康は命令するだけでは輝政は動かないと判断し、他のやり方で説得することにした。

「お前の言うことは最もじゃ。じゃが、もしこの戦に負ければどうなると思う」

「当然、腹を切ることになりましょう。でも某はその覚悟もありまする!」

顔を真っ赤にして、自分の武士の魂を話す。だが、家康にとってはどうでもいい。

「お前にその覚悟があることは十分わかっておるわ。儂が言いたいのはそのことではない。男は腹を切って終わるが、女子である督姫はどうじゃ」

はっとした顔をする輝政。


戦国の世では、跡継ぎである男は戦に負けたら腹を切るものである。

たとえ、それが赤ん坊であっても。

だが、女は比較的助かることが多く、城から逃げ出したり、勝者に引きとられることもあっただろう。

引き取られるならいいではないか、と思いがちだが、父親の仇に従うことになり、更にそれを養父とするのだから、屈辱以外の何者でもない。

ちなみにの話だが、戦国一の美女・お市の娘である茶々は弟も父も母も殺した相手の側室になった。

彼女にとったら死ぬ方がマシな程の屈辱だっただろう。

この合戦でもし、東軍が負けた場合、督姫はどうなるのか。

「大事な愛娘があの三成や大谷に好き放題されるなど、儂は堪えられん」

「そ、某も、そのようなこと耐えられませぬ!」

何を想像しているのか、輝政は頭を真っ赤にして鼻血を出しながら、立ち上がる程までに興奮していた。

おそらく、怒りの感情もあるだろう。それに勝る感情もありそうだが。

「その為には勝たねばならん。そのためには戦略が必要、わかるな?」

「はい!」

勢いよく返事をする輝政。何故か笑っている。

もう、姫を守るヒーローにでもなったつもりなのだろうか。

「某は姫を守れる立派な男になりまする!親父殿、行ってまいります!」

「あぁ、よろしく頼んだ。ちゃんと儂が言う通りに言うのじゃ」

「はい!」

輝政の気合いはまた違うところに行っているが、まぁいいだろう。

家康の悩みを詰め込んだため息はすぐに消え、代わりに城を揺らす程の輝政がたてる足音が響いた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ