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不老不死の化け物の、今の名前は町田緋踏
播磨道場に行き、彼の似顔絵を見せられて俺は驚いた。俺は以前、彼に会ったことがある。
伊那川流という流派の剣術道場があり、俺はそこに訪ねたことがあった。
そこで彼に会った。
その当時の彼には悪印象はない。一心不乱に強さを追求しており、むしろ俺は彼に好感を持った。
だが、一つ印象に残っていたのは、彼が目にある種の虚無のようなものを宿していたことだ。
彼の中には何か巨大な空洞のようなものがあり、なんとかそれを埋めようとしている。そんな感じだった。
「道慈」俺の師匠である播磨桂樹が手招きする。
「なんでしょうか?」
「お前は以前、伊那川道場に行ったことがあったな」
「はい。そこで町田緋踏に会っています」
「その町田の師にあたる伊那川陽弦が突然、消えてしまったのだ」
「消えた?」師匠はうなずいた。
「伊那川道場の庭には、陽弦の愛刀が落ちていた。そして、その周囲に灰が残っていたらしい」
どういうことだろうか?まさか陽弦は灰になって消えてしまった、とでも言うのだろうか?
「道慈さん」呼ばれて振り向くと美智がいた。
美智はかつて俺が命を助けてやった娘で、年は16になる。
助けた後は俺にやたらとなついて、常に俺の後ろをひっついて回るようになった。
そのうちだんだん美智が意外と有能であることに気がついて、俺はさまざまな情報収集のために彼女を使うようになった。
まだ彼女は独特の鋭い「直感」をもっている。
むしろ直感を超えて、超能力と言う域に達しているのではないかと俺は密かに思っている。
「町田緋踏は見つかったか?」美智はうなずいた。
「さまざまな目撃情報から、だいたい今いる場所の見当がつきました」
やはり美智は有能だ。緋踏がいたのは意外な場所だった。
彼が身を潜め、拠点としていた場所は鹿児島県のトカラ列島にある諏訪之瀬島だった。
うまいところに隠れたものだ。
諏訪之瀬島は1813年(文化10年)の大噴火で全島民が避難してその後、約70年間無人島となっていた。隠れるにはうってつけの場所だ。
俺は西南戦争のどさくさに紛れて、美智に船を漕がせて島に上陸した。
俺は美智に船のそばを離れないようにと言った。もし何かあったら、自分のことは気にしなくていいから、一人でも逃げるようにと言った。
美智はうなずくと、ためらいがちに「炎に気をつけてください」と言った。
美智には何か不思議な力がある。それは以前から感じていた、ある種の予知能力のようなものだ。
「分かった」俺はうなずくと、緋踏を探して彼のひそむアジトへ向かった。




