流星の星霊術士
四本の光の柱……。これなら外界からの力の供給を断てる!
僕はデミウルゴスの方を見つめ、ニヤリと不敵に笑った。
「なんだ……!? この光は? なに笑っていやがる!」
ヤツは僕の態度に激昂し、その動きを止めた。ヤツの意識が僕に集中する、そこに――。
「アルテミス、主砲撃てっ!」
メグがアルテミスを操作し、ヤツに主砲を放つ。アルテミスの駆動音すら、激昂したヤツの耳には届いていなかったようだ。
「そんなもの、絶対防御障壁の前には無駄……っ、何!?」
アルテミスの主砲は、ヤツの絶対防御障壁を木端微塵に破壊した。
「お前の絶対防御障壁とやらも、僕たちのカレンの結界より弱いらしいな!」
その言葉を聞いたヤツはさらに激怒し、メグを狙って巨大な火球を放った。
「させませんわ!」
ヤツの火球を、カレンの真の絶対防御障壁が防ぎきる。そして、アルテミスの第二射がヤツに向けて放たれた。
「絶対防御障壁は何度でも張れるんだよ!」
そう言い張ったヤツだが、今度は絶対防御障壁が展開されず、アルテミスの主砲がまともに直撃した。
「ぐおおおおおおお!」
激しい爆発と煙が辺りに立ち込める。それが晴れた時、ヤツはこの戦闘で初めて傷を負っていた。
「モブの分際で、俺の与えた知識だぞ……。勝手に使ってんじゃねぇ!」
怒り狂うヤツに、僕、ステラ、アランで一斉に連携攻撃を仕掛ける。
「クソッ、クソッ、なんでMPが回復しねぇんだ!」
四魔将による結界が、外界からのエネルギー供給を完全に遮断しているからだ。
魔人国での連携訓練、そしてそこにアランが加わった波状攻撃により、デミウルゴスの顔に明らかな焦りの色が浮かび始める。僕たちは次第に優勢になっていく。
「クソモブどもが、卑怯だぞ! 俺は一人なんだぞ!」
「信頼し合える仲間を作らなかったお前の自業自得だ! なぜそれが分からない!」
「知るかよ! これは『俺の物語』なんだぞ! モブはモブらしく、主人公の俺に黙って従っていればいいんだ!」
今の言葉……こいつ、やっぱり佐藤刃か……!?
「どうしようもないクズね、あんた!」
ステラの鋭い斬撃が、ヤツの肌を深く引き裂く。
「背中を預けられるのは、信頼し合っているからこそだ。お前には難しすぎたようだな?」
アランが不敵にヤツを煽る。一度は敵対したアランだけど、今の僕たちには、本物の絆があるんだ!
「クソッ、俺がこんな無様を……、見るんじゃねぇえええ!」
帝都の上空、いや、世界中の夜空に映し出されていた映像魔法。それが限界を迎えて弾け飛び、まるで無数の流星のように煌めいた。
その時、全世界の人々の想いが一つになった。
人々を支配し、悪逆非道を繰り返す邪神デミウルゴスを倒してくれ、と。
王国で、魔人国で、帝国で、人々はその流れ星に祈りを捧げる。
『アスターたちに勝利を』
***
その中の一人に、ブラーエもいた。
負傷していた彼は王城の窓辺に寄り掛かり、夜空を見上げて呟く。
「流れ星に祈るなんて柄じゃないが……勝ってくれ、アスター・フォーマルハウト。人々の願いを叶える流れ星、――流星の星霊術士よ!」
***
「くそ、モブどもが、覚えていろよ!」
ヤツが背を向けて逃走を図る。絶対に逃がさない、こいつはここで仕留める!
「届いたよ、みんなの想い! みんなの願いの力を遥斗に!」
美香の疑似奇跡が世界中の願いを束ね、奔流となって僕の身体に流れ込んでくる。
「ふっ、逃がさん!」
駆け付けたクロの影の星霊術が伸び、逃走しようとするヤツの動きを一瞬だけ縛り付けた。
「それも、俺が与えた技術だろうがああああ!」
クロに対して半ば狂乱した悲鳴を上げるデミウルゴス。――その決定的な隙を、僕は見逃さなかった。
「北極星よ! 邪神を打ち倒し、人々を導く光となれ!」
僕は世界中の人々の願いが籠った一撃を、ヤツに向けて全力で振り下ろした。
眩いばかりの極光はオーロラとなって天を舞い、ヤツを真っ二つに一刀両断する。
「ぐああああああああああ!!」
ヤツは圧倒的な光に包まれ――その光が消え去った時、跡形もなく完全に消滅した。
「やったのか……?」
ヤツの邪悪な気配は、もうどこにも感じられなかった。
「やったー、勝ったよ!」
僕の元に、みんなが笑顔で駆け寄ってくる。僕はそれに応えるように、深く息を吐いて微笑んだ。
カストル皇帝、僕たち勝ちましたよ。世界を、守り抜きました。
「見て、朝日だ!」
邪神の支配という、人々の長かった夜が明ける。
僕たち、いや、世界中の人々の勝利を祝福するように、払暁の光が世界を優しく照らし出していた。




