その後
すべての元凶たるデミウルゴスを倒し、戦いが終わったことにより、世界中の人々が一つに繋がった。王国、魔人国、帝国は、これまでのわだかまりを解消し、共に歩み始めた。
僕たち星霊研究部の面々はというと……。
「うーん、アスターくんのその表情いただき!」
パシャリ。メグは帝国で買ったカメラが気に入ったようで、独自に改造を施していた。
「ちょっと、メグ! アスターに引っ付きすぎよ、離れなさい!」
ステラは相変わらず、嫉妬深いという感じだ。そこが可愛いんだけどね。
「遥斗、遥斗! 週末ピクニックに行こうよー!」
美香はメグ以上に距離が近い。そんなに近いと……。
「みぃーかぁー! 離れなさーい!」
ステラが美香を引きはがす。いつもと変わらない平和な日常だ……。
だが、今日はそれを揺るがす大事件が勃発した。
「ふふふ、アスターくん」
カレンが近づいてきた。何だかいつもより距離が近いけど……。
「ちゅっ」
僕とカレンの唇が軽く触れた。
「なななななな、なにしてるのよー、カレンー!」
ステラが驚愕のあまり、耳まで真っ赤にして叫んだ。
「だって、私だけアスターくんとキスしてないんだもの。婚約者なんだし、いいわよね!」
いいわよねって……。
「私だって、遥斗と結婚の約束してるんだから! 遥斗ー、ちゅー」
美香が僕に迫る。ステラはそれを必死に引きはがそうとしていた。
「婚約なんて、ずるいわよ! 私ともするわよね!」
美香を押さえながら、ステラが詰め寄ってくる。
「えーっと……」
僕が言い淀んでいると、メグが瞳を煌めかせて、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「見えた! アスターくんは私たち四人と結婚する!」
とんでもないことを言い出すメグ。もう星詠みの力は使えないのに――。
でも、僕にとっては四人とも大切な存在だ。誰かを選べばきっとそれは、選ばなかった人を傷つけることになる。
幸いなことに、この世界は一夫多妻制が認められている。前世の倫理観がそれを拒絶しようとするけど……いや、もういいか。
大事なのは、今この世界に生きているってことなんだ。
大切な人たちを傷つけたくはない。だから、四人とも絶対に不幸にはさせない。
そして僕は、覚悟を決めた。彼女たちを真剣な表情でしっかりと見つめる。
「ステラ、メグ、カレン、美香。愛しているよ」
***
「アメオ様、なにをしているですの?」
アメオはいそいそと何かの支度していた。
「おお、ドゥーベか。なに、アスター君に直接、今回の件を労ってやろうと思ってね」
アメオの言葉に、ドゥーベは顔をしかめる。
「アメオ様『願い続けていれば、いつか叶うかもね』なんてカッコつけてたのに、自分から会いにいくんですのー?」
ドゥーベの言い草に、アメオはぷんすかと大袈裟に怒って見せた。
「せっかくドゥーベも連れて行こうと思ったけど、留守番させちゃおうかなー」
その言葉を聞いたドゥーベは、あたふたと慌て始めた。
「冗談ですの、行きますのー!」
「ハハハ、焦りすぎだよドゥーベ。メラクも連れて行くから、呼んでおいで」
「もういる」
「早いね!」
「ん、楽しみ」
「ですのー」
「そうだ、こういうのはどうだい……」
その後、なぜか人に化けた三人が、学園の編入生として現れたのはまた別のお話。
***
――数年後。
その家には、アスターと、ステラ、メグ、カレン、美香が暮らしていた。
笑顔が絶えることのない、温かな家庭。それはアスターが望んだ最初の願い。
そして、その家の一番目立つ所には――、
最高の笑顔を見せる、五人の写真が飾られていた。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。




