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【完結】流星の星霊術士  作者: 折尾リク
五章 流星の星霊術士
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邪神デミウルゴス

 胸から血を吹き出し、崩れ落ちる皇帝。


「帝国を……世界を……頼む……」


 皇帝の遺言。確かに受け取った。僕はその言葉に応えるべく、拳を強く握りしめ、ヤツを鋭く睨みつける。


 ――デミウルゴス。アマツさんを介して降臨した時とは比較にならないほどの、圧倒的なオーラ。その暗黒の力によって、周囲は黒く、そして暗く染まる。


「ちっ、NPC(ダミー)が自我出してんじゃねぇよ」


 皇帝の意地をまるで嘲笑うかのように軽薄な言葉を吐き、亡骸を蹴り飛ばし弄ぶデミウルゴス。瞬間――。僕は地を蹴り、星霊術で身体と剣を限界まで強化し、斬りかかる。


「うぜぇな、熱くなってんじゃねぇよ! モブが!」


 僕の渾身の一撃をいとも容易く受け止め、持っていた剣で反撃に転じるデミウルゴス。態勢を崩された僕は、その斬撃の直撃を受けそうになったが……。


「させませんわ!」


 その直前、カレンの結界によって阻まれた。


「俺の一撃を受け止める結界だと? やっぱり、転生者イレギュラーじゃねぇのか?」


 ヤツはニヤニヤしながら、品定めをするように、カレンたちを眺める。


「まあ、このNPC(ダミー)が使えないおかげで、俺も不完全な状態で降臨しちまったからな……」


 ヤツはそれでも十分だ、と言わんばかりに歪な笑みを崩さない。


「じゃあ、行くぜ……」


 ヤツの背後で《《外界》》の力を供給する暗黒のオーラが、さらに強まる。空気は震え、ビリビリと肌に伝わってくる。僕は心を奮い立たせ、身構えた。


 ヤツの姿が消え、一瞬で僕の懐に潜り込む。繰り出される斬撃。間一髪のところでそれを受け流し、反撃を加える。だが、ヤツは躱すこともせず、直撃を受けながら次の攻撃を繰り出してきた。


「させません……」

「同じ手は食わねぇよ!」


 カレンの結界をヤツの暗黒のオーラが破壊する。僕の眼前に迫る斬撃。あまりの速さにステラたちも反応できていない。


 やられる……っ!?


 ヤツの斬撃は何者かの剣によって阻まれた。その背中は僕のよく知るものだった。


「アラン!」

「ピンチみたいだな、間に合ってよかったぜ!」


 アランは近衛騎士だ。ということは……。


「王国軍の先陣として、アラン様参上ってな」


 アランがヤツの攻撃を弾き返すと、ヤツは警戒しているのか、少し距離を取った。


「雑魚モブが、何匹増えようと俺の敵じゃねぇんだよ!」


 ヤツは暗黒のオーラを体内に取り込み、自身を強化したようだ。


「よし、ステラ、アラン、連携してヤツを叩くぞ!」

「了解!」


 二人の声が重なった。ヤツは三対一でも防戦一方になるどころか、的確に反撃を繰り出してくる。決め手に欠ける攻防が繰り返された。そこに――。


「食らいなさい!」


 美香が放った、火の上位星霊術が炸裂した。だが、その攻撃はヤツの肌を焦がすことすらできなかった。


「クソが、うぜぇんだよ!」


 逆上したヤツの攻撃の矛先が美香に向かった。


「もらった!」


 そこにメグの放った水の星霊術――いや、泥水がヤツに命中し、弾けた。


「くそっ、なんだこれは! 見えねぇ!」


 ヤツは目に泥が入り、混乱しているようだ。


 隙だらけの今なら、行ける!


北極星ポラリスよ、ヤツを撃て!」


 星霊王・北極星ポラリスの力を限界まで引き出し、身動きの取れないヤツに、極光を纏った一撃を叩き込んだ。


「やった!」


 誰もが勝利を確信した、その時だった。光が消え、ヤツが姿を現す。


「絶対防御障壁、残念でしたー。俺のチートを甘く見るなよ、雑魚モブくん」


 ヤツには傷一つ付けることができなかった。


 北極星ポラリスの全力でも駄目なのか……。


 僕たちの表情が絶望に歪む。ヤツはさらに醜悪なことを言い出した。


「お前たちの虐殺ショーを、全世界に見てもらおうぜ!」


 ヤツが指を鳴らす。すると、帝都の上空に僕たちの映像が映し出された。


「帝都だけじゃないぜ、今この瞬間を全世界が見ているんだ。人々の希望が俺にズタボロにされていく様を、じっくり配信してやるよ!」


 ヤツはそう宣言すると、再び構える。


 そこからヤツは、僕とアランを執拗に攻撃してきた。


「女は俺の所有物ハーレムに加えてやるから、安心して死ね!」


「ふざけるな! そんなこと絶対にさせない!」


 絶対防御障壁の前に、僕たちは防戦一方だった。


 ヤツの外界からの力の供給を止めれば、あるいは――。


 その時だった。帝都の四方から、あの()()()が立ち上った。

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