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【完結】流星の星霊術士  作者: 折尾リク
四章 最後の号令
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我が名はダミー

 アルテミスの放った、凄まじい光を放つ弾頭が僕たちに向けて迫る。そして――。


「結界よ! みんなを守って!」


 カレンの鋭い叫びが響いた。その瞬間、司令塔の前に結界の星霊術が展開され、アルテミスの弾頭をかき消した。


「馬鹿なっ、あのアルテミスの主砲を無効化するだと!?」


 いつもは冷静なクロが驚愕の声を上げる。


「た、助かったー」


 ステラとメグと美香はホッとした表情を浮かべた。


「どう、アスターくん。私の力は!」


 カレンは自信満々の笑みを浮かべた。アースとの修行の成果か、本当に凄い。


「凄いです! カレンがいなかったら、今の一撃で全滅でした」


 僕が素直にカレンを称賛すると、彼女は少し照れくさそうに視線を泳がせた。


「おい、急いで脱出するぞ、次が来る」


 クロに促され、僕たちは司令塔から脱出した。


司令塔の外には、帝国兵が待ち構えていた。全員を相手にしていたら、とてもじゃないが時間までにアルテミスにたどり着けない。


「ここは俺に任せろ、お前たちはアルテミスを奪取するんだ」


「でも、この人数を相手に一人じゃ……」


「俺一人なら、いざとなったら逃げられる。いいから行け。陛下を頼んだぞ!」


 クロはそう言い残すと、帝国兵を引き付けるように立ち回った。


「行こう、みんな!」


 僕はステラたちとともにアルテミスに急いだ。


 手薄になったアルテミスに迫る僕たちの前に、威風堂々たる風格を纏った青年が現れた。三人の従者を従えている。


「侵入者か、我がこの手で直接葬ってくれる」


「あなたが皇帝陛下ですか?」


 僕は青年に問いかける。クロとの約束だ、皇帝を救わなければならない。


「いかにも、我が名はダミー、アストロ帝国の皇帝だ」


 ダミー……? デミウルゴスめ、傀儡にするだけでは飽き足らず、そんなふざけた名前を皇帝に名乗らせているのか!?


 僕はデミウルゴスへの怒りで、拳を強く握りしめた。


「……? どうした、我が高貴な名に声も出せぬか? お主、名を名乗ることを許可する」


「アスター・フォーマルハウト……、あなたを救いに来た! 美香!」


 僕は美香に合図を送る。疑似奇跡で、皇帝を救うんだ。


「――ッ、駄目、信じる力が足りない。皇帝の精神支配はクロさんのより強固みたい!」


 頼みの綱の疑似奇跡が通用しない。どうする?


「ふん、何をしている? 行け、騎士たちよ、侵入者を排除せよ!」


 三人の騎士が僕に迫るのを、ステラたちが防いだ。


「ぼーっとしない! ほら指示を出して!」


 ステラが僕を鼓舞する。立ち止まっている暇はない、まずはアルテミスだ。


「メグはアルテミスを、ステラ、カレン、美香は騎士の相手を頼む。皇帝の相手は僕がする!」


「了解!」


 僕の合図で、メグがアルテミスに向かった。彼女しかアルテミスのコントロールを奪取することはできないだろう。


「我が相手をするだと? 面白い、アスターとやら、かかってくるがいい」


 皇帝がそう告げると、暗黒のオーラが皇帝の背後に立ち込めた。


 やはり、皇帝もウラヌスと同じく、デミウルゴスによって外界の力を得ているのか。


 僕は星霊術で身体と剣を限界まで強化し、一瞬で間合いを詰めて皇帝に斬りかかる。皇帝はそれを剣で受け止め、反撃を繰り出してきた。その一撃を受け止めたが、強化されたウラヌスの攻撃より遥かに軽い。


 腐っても元々は魔将のウラヌスである。普通の人間の皇帝とでは元の力が違う分、外界の力による強化にも差が出ているのだろう。


 これなら勝てる。だが、皇帝を殺すことが目的ではない。救うためには――。


「ふん、考えごとか! 舐めるな!」


 皇帝の流麗な剣を、全て捌く。強化されたウラヌスよりは弱いとはいえ、一瞬の油断が死を招く状況だ。


 何かこの状況を打破する方法は……。


「アスター、加勢するわ!」


 ステラたちが騎士を倒し、僕に加勢しようとする。


「僕より、メグの方に行って!」


 アルテミスを奪取しなければ、デミウルゴスが降臨してしまう。それだけは避けなければ。皇帝は最悪……殺すしかない。


「くっ、我が剣が通じないのか……」


 その後も、皇帝の剣を捌き続ける。その時、アルテミスの方からメグの声が聞こえた。


「アルテミス奪取完了! ジャミングシステム作動!」


 ジャミングシステム? 何かを妨害するようだが……。


「ぐおおおおおおっ!」


 皇帝がいきなり苦しみ出した。血を吐いて膝をつく。そして、暗黒のオーラが消えた。


 それでも、フラフラになりながらも皇帝は立ち上がる。辺りを見回し、全てを察したような表情を浮かべた。


 皇帝が懐からマイクのようなものを取り出した。そして、ある号令が帝都中に鳴り響いた。

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