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【完結】流星の星霊術士  作者: 折尾リク
四章 最後の号令
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帝都調査

 男に案内され、隠し通路を通って帝都へ急ぐ。隠し通路はかなり古い作りになっていた。帝国の兵士の姿もなく、僕たちはすんなりと帝都へ到着した。


「こっちだ。その姿では目立つ。俺のセーフハウスがあるから、そこで着替えるぞ」


 僕たちが着ているのは学園の制服だった。確かに、この帝国では場違いすぎる。案内してくれた男も黒装束なので、街中に出れば相当目立つだろう。


 僕たちは男のセーフハウスに上がり、各々が着替えることにした。僕たちが手渡されたのは帝国の学生服だったのだが……。


「ちょっと、何なんだいこれは? 子供服じゃないか!」


 メグだけはサイズが合わなかったようで、用意されていた『子供服』を着ていた。メグにも羞恥心はあるらしく、顔を真っ赤にしている。


「ぷぷぷ……似合ってるわよ、メグ……っ」


 ステラは今にも吹き出しそうだ。必死に笑いを堪えている。


「ほーらメグ、お姉ちゃんよー」


 カレンは両手を広げて『お姉ちゃんモード』になっていた。


「メグ可愛い! 初等部の生徒みたーい」


 美香はからかう気はないのだろうが、結果的にメグを煽る形になっている。


「くぅー、こんなのあんまりだよ! そうだ、買い物に行こう、帝都調査も兼ねて!」


 もっともらしい理由を付けているが、自分に合ったサイズの制服を買いに行くつもりだな。


「ショッピングかー、いいわね」

「帝都での情報収集も兼ねましょう」

「楽しみー」


 彼女たちはみんな乗り気なようだ。男はため息をつきながら肩をすくめた。


「はぁ……あまり目立つ真似はするなよ。夕方までには戻ってこい」


 男の許可が出たことで、彼女たちは一気に色めき立った。


「行こう、アスターくん!」


 メグに手を引かれ、僕たちは『帝都調査』という名のショッピングに向かうのだった。


 ***


 帝都は戦時だというのに平和そのものだった。


 まず僕たちは服屋へと向かった。メグが子供服のままだと可哀想だからだ。


「なんだい、ちゃんとサイズがあるじゃないか……。店員さん、これください!」


 メグは目的の制服を購入し、さっそく着替えに行った。他の女子たちはというと……。


「どう、アスター。似合うかしら?」


 ステラが目を輝かせながら、僕に問いかけてくる。正直、服の良し悪しはよく分からないが、ステラの燃えるような赤髪によく映える、情熱的な赤いワンピースだ。


「似合っているよ、ステラ。とっても可愛い」


「そ、そう、ありがとっ!」


 彼女は顔を赤く染めて、照れくさそうに走り去ってしまった。本当に可愛い反応をしてくれる。


「アスターくん、どうかしら?」


 今度はカレンだ。艶やかな黒髪に、純白のワンピースがよく映えている。


「綺麗だよ、カレン」


「ふふ、嬉しいわ」


 彼女はステラと違って余裕の表情を崩さない。アースとの修行を経て、精神面で大きく成長したようだ。


「ふふん、どう遥斗!?」


 お次は美香。ピンクのワンピースだ。この店にはワンピースしかないのだろうか?


「うん、似合っているよ。美香にぴったりだよ」


「ありがと、遥斗!」


 彼女は嬉しそうに笑った。結局、各々がお気に入りの服を買うことができたようで、みんな満足気な顔をしていた。


 ***


 その後、帝都内を観光……もとい調査していた僕たちは、ある店の前で足を止めた。


「これは!?」


 メグが驚きの声を上げる。彼女が興味を示したのは、どこからどう見ても『カメラ』だった。


遺物アーティファクトの情報によると、これは写真を撮れるんだよー」


 メグがカメラの説明をみんなに始める。その遺物アーティファクトでも写真は撮れるはずだけどね。


「その、写真ってのは、何なの?」


 ステラが当然の疑問を投げかけると、メグは店員に「これください」と言ってその場で購入してしまった。そのカメラはインスタントカメラだった。メグは不意に構えると、パシャリと僕たちを撮影した。


「ほーら、見てごらん」


 メグは出来上がった写真を僕たちに見せる。


「これ、私たちじゃない! 中に封印されたの!?」

「驚きましたわ……!?」

「エモいってやつだね、遥斗!」


 ステラとカレンは驚きを隠せないようだが、元の世界の文化を知っている美香だけは楽しそうだ。


「メグ、あんまり無駄遣いは……」


 僕がたしなめようとすると、彼女は愛おしそうにカメラを撫でた。


「無駄じゃないよ。いつか、このカメラで撮った写真を、お家に飾るんだ……」


 彼女のその表情を見て、僕は静かに決意する。


「じゃあ、この任務を無事に成功させなきゃな!」


「うん!」


 彼女は満面の笑みを浮かべた。


 ***


「ちょっと、あんたたち。表を歩かない方がいいよ」


 大通りを歩いていたら、見知らぬお婆さんに呼び止められ、警告された。


「どうしてですか?」


 まさか、潜入がバレているのだろうか?


「そんな若くて可愛い子たちを連れていたら、献上品にされちまうよ」 


 ――献上品? 


 その言葉を聞いた瞬間、ヤツの言葉が頭をよぎった。「みんなまとめて俺の所有物ハーレムに加えてやるよ」。デミウルゴスの魔の手は、すでに帝国の民にまで及んでいるというのか……。


「献上品にされた女の子たちは、誰一人として帰ってこなかったんだ。さあ早く、どこかへ隠れるんだよ!」


 お婆さんはそれだけ言い残し、周囲を警戒しながらそそくさとその場を去って行った。


 デミウルゴス、どこまで醜悪な男なんだ。僕たちはお婆さんの警告に従い、表情を引き締めながら、セーフハウスへの道を急いだのだった。

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