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【完結】流星の星霊術士  作者: 折尾リク
三章 魔人国動乱
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末路

 王宮の四方から眩い光の柱が立ち上がる――その瞬間、僕と先生は不敵に笑った。


「なんだ、この光は!? なに笑っていやがる!?」


 動揺するウラヌスの右腕を、僕はいとも簡単に跳ね飛ばした。


「なんだと……そんな馬鹿な!? その強さ、どういうことだ!」


 ウラヌスは激痛に右肩を押さえながら、僕に叫ぶ。


「さあね、お前が弱くなったんじゃない?」


 その言葉を聞いたウラヌスが、わなわなと怒りに震えた。


「舐めやがって、さっきまで逃げ回っていた分際で……!」


 ウラヌスの左拳が僕に迫る。だが、完全に軌道を見切っていた僕は、それを紙一重で躱してみせた。


「遅いな。これがお前の本来の実力?」


 見れば、ウラヌスの背後の暗黒のオーラが消え失せている。やはり外界から力を得ていたのだろう。


「俺は魔人王だ、最強なんだ!」


 ウラヌスは上位魔法を連発するが、さっきまでとは違い、威力も精度も格段に低い。


「くそっ、何故当たらん!?」


 僕は隙だらけのウラヌスの左腕も跳ね飛ばした。圧倒的な力の差に絶望し、膝を折るウラヌス。


 僕たちの勝利だ――そう確信した、その時だった。ウラヌスの口からヤツの名前が飛び出した。


「デミウルゴス様! 俺に再び力を!」


 ウラヌスは、すでに消滅したはずのヤツの名前を叫んだ。


「どういう意味だ!」


 僕がウラヌスに詰め寄った瞬間――ウラヌスの身体が木端微塵に弾けた。


 デミウルゴスが生きている……!? このクーデターの黒幕は、デミウルゴスなのか?


「どうやら、私たちの勝利のようだな……」


 呆然とする僕に、先生がフラフラになりながらも近づいてきた。


「そう……ですね」


 ウラヌスの野望は喰い止めたが、それ以上の問題が浮上してきた。――デミウルゴス。悪意の塊のような存在。ヤツの性格からして、必ず再び戦うことになるだろう。


 僕は不安に駆られ、目の前の勝利の余韻に浸ることができなかった。


 ***


 その後、魔人国はクーデターの後処理に追われていた。


 新たなる魔人王に推挙されたのは、なんと四魔将の満場一致でブラーエ先生――もとい、プルートだった。


「俺は王とか柄じゃねぇし」

「私も仕える立場の方がいいです」

「興味なーし」

「私では力不足ですから」


 四魔将はそれぞれ理由を付けて、先生に厄介な仕事を押し付けたようだ。


「仕方がないか。ただし、条件がある」


「条件?」


 四魔将が首を傾げる。


「この子たちが卒業するまでは待ってくれ」


 先生は最後まで、僕たちの先生でいたいようだ。微笑みながら僕たちの方を見つめていた。


 先生にそこまで大切に思われていることが、たまらなく嬉しかった。


 僕たちも、先生の言葉に思わず笑顔になった。


 ***


 僕たちはそれから一週間ほど、魔人国に滞在した。


 最終日の今日は、なんと四魔将や先生とともにピクニックだ。


「これが、魔人国の世界樹ですか。王国のものとほとんど変わりませんね」


 圧倒されるような巨大な世界樹。空気中の魔力も心なしか濃く感じる。


「そうだね。ふっ、それにしても、フォーマルハウト君とこうしてピクニックに行くなんて、想像もつかなかったよ」


 先生が自然な笑顔を浮かべる。けれど身体はボロボロのはずなのに、無理をして来たんじゃないかと少し心配になった。


「そんな顔をするな。前にも言ったが、私の生命力を甘く見るなよ」


 先生は不安そうな僕の顔を見て察したのか、すかさず冗談で場を和ませる。そして真剣な表情になって僕を見つめた。


「フォーマルハウト君。君たちが来てくれなかったら、魔人国はウラヌスに完全に支配されていただろう。本当にありがとう」


 先生は深々と頭を下げる。そんなに真剣に感謝されると、なんだか恐縮してしまう。


「先生は僕の大切な人ですから。大切な人たちを守る――それが僕の誓いですから」


 先生は頭を上げ、僕に最高の笑顔を見せた。


「君たちは、私の自慢の生徒だ」


 その言葉を聞いて、胸の奥が誇らしい気分で満たされていく。


 魔人国を、先生を救えて、本当に良かった。


「あー! アスターくんが今度は先生とイチャついてる!」


 メグの声が、和やかな空気を一変させた。


「ちょっと、アスター! 先生のことが、す、すすすす好きなの!?」


「先生だめー! 遥斗は私のなんだから!」


 ステラと美香は動揺のあまり、とんでもないことを口走っている。


「あらあら、みんな仲良しね」


 カレンは大人の余裕を感じさせる微笑みを浮かべている。アースの指導の賜物だろうか。


「ははははは!」


 そんな賑やかな彼女たちを見て、僕と先生は同時に笑い出した。


 こんな毎日が、永遠に続けばいいのに。


 だが、ウラヌスの遺した言葉――デミウルゴスが生きている可能性は、僕の脳裏に強く焼き付いて離れなかった。

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