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【完結】流星の星霊術士  作者: 折尾リク
三章 魔人国動乱
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穏健派の四魔将

 その後、僕たちは隠し通路を無事突破し、魔人国へと入国した。


「ここが、魔人国……!」


 清々しいほどに晴れ渡った空。そして僕たちの眼前には、美しい自然と豪華絢爛な王宮が調和した、魔人国の都『ヘリオス』が広がっていた。


「確かに、ピクニックにでも行きたくなるねー」


 メグが能天気なことを言い出した。


「もっと禍々しい都だと思っていたわ……」


「分からないよ。近づいたら、闇のオーラが襲い掛かってくるかも……」


 ステラと美香は少し警戒しているようだ。


「どうやって、潜入しよう……?」


 僕が首を傾げてウンウンと唸っていると、カレンが何か考えがあるのか不敵に笑った。


「ブラーエ先生のことですもの、きっと対策済みですわ。急いで向かいましょう!」


 カレンには先生の考えが読めるようだ。僕たちは促されるまま、ヘリオスへと向かった。


 ***


 ヘリオスの入り口に到着して早々、僕たちは衛兵に呼び止められた。


「止まれ! お前たち、見ない顔だな。都へ何しに来た?」


 くっ、早速か……。僕はカレンの方を見る。しかし彼女は、この状況でも涼しい顔で余裕綽々といった様子だ。


「カレ……」


「来ましたわね」


 僕がカレンに声をかけようとしたその時、ある人物が現れた。


「いやー、待たせたね。おっと衛兵さん、こちらは私の客人だ」


 そこに立っていたのは、一人の初老の男性だった。初めて見る人だけど……。


「あっ、あなた様は……!? 失礼しました!」


 衛兵が深く頭を下げ、僕たちから離れていく。男性は少し微笑んだ後、後ろを向き、「ついて来てください」と僕たちを促した。


「カレン、あの人は一体……?」


 僕はカレンに耳打ちした。


「おそらく、ブラーエ先生の仲間ですわ。先生の元に案内してくれるはず……」


 なるほど、対策済みとはこのことだったのか。


 僕たちはクーデターの成功で熱狂している大通りを外れ、薄暗い路地の奥にある、倉庫のような場所に案内された。


「この下です」


 男性が魔法を発動させると、パズルのように箱が移動する。そして、地下への入り口が現れた。


 僕たちは案内されるがまま、男性について行く。地下通路の先には、巨大な空間が広がっていた。


「それでは、私はこれで……」


 男性が僕たちから離れ、引き返していく。


「待っていたよ……フォーマルハウト君」


 そこには、ブラーエ先生が待っていた。先生は足の骨が折れているのか、松葉杖をついている。


「ブラーエ先生! 無事だったんですね!」


 僕たちは喜びのあまり、先生に駆け寄った。怪我こそしているが、生きていて本当に良かった。


「おいおい、私の生命力を甘く見るなよ……」


「いつも顔色が悪いのにですか!」


「ははは!」


 僕たちの顔に笑顔の花が咲く。しばらくして、先生は美香の方に視線を移した。


「君は、アマツさん……?」


 そうだ、二人は初対面だった。


「私は美香っていいます。アマツでもありますが……」


 美香の説明に、先生は困惑しているようだ。僕は先生に詳しい事情を説明した。


「なるほど……魂の統合か……。確かに君からは、世界樹の時に感じた二つの気配を同時に感じるな」


 世界樹の時には、アマツさんにしか会っていないはずだけど……?


 僕がそんなことを考えていると、ある人物が現れ、周囲の空気がビリビリと震えた。


「そいつらが、プルートが言う希望か? 弱っちそうだが、本当に大丈夫なのか?」


 その男は、ジュピターと変わらないほどの大男だった。その表情は自信に満ちあふれている。


「プルートじゃない、ブラーエだ。何度も言っているだろう、マーズ……」


「細かい事はいいじゃねぇか! 俺の名前はマーズだ!」


 マーズはガハハと笑い出した。ジャックおじさんみたいだな。


「少しは頭を使うことを覚えた方が良いですよ」


 次に現れたのは、眼鏡をかけた、端正な顔立ちの青年。いかにもインテリといった雰囲気だ。


「お前は頭より、身体を動かすべきだぜ、マーキュリー!」


「はぁ……。自己紹介が遅れました。僕の名前はマーキュリー。よろしくお願いします」


 マーキュリーはため息をつきつつ、丁寧に一礼した。


「騒がしいと思ったら、この子たちが希望? 私はヴィーナス。よろしくねー!」


 派手だが、文句なしの美人だ。彼女を見つめていると、ステラに脇腹を小突かれた。


「みなさん、揃っていますね。私はアースと申します。よろしくお願いしますね」


 奥から現れたのは、全てを包み込むような慈愛に満ちた女性だった。


「これで穏健派の魔将が揃ったわけだが……」


 先生が言いかけると、それをマーズが遮った。


「ブラーエ、希望っていうからには、こいつらを試させてもらうぜ!」


「試す……? 何を言っているんだ」


「その男は中々やるようだが、嬢ちゃんたちは力不足だろう!」


 一瞬でそこまで見抜いたのか……。確かに、僕とステラたちとでは実力に開きがある。


「ふっ、なら『試す』と言わず、鍛えてやったらどうだ?」


 先生がマーズに対して提案する。魔将に特訓してもらえるなら、ステラたちも大幅に強くなれるだろう。願ったり叶ったりだけど……。


「じゃあ、許可も出たことだし、お前たちをビシバシしごいてやるぜ!」

「面白そうですね、僕も参加しましょう」

「四人の可憐な美少女たち……私は誰を指導しようかしら?」

「参加せざるを得ない雰囲気ですね。私も一肌脱ぎましょう」


 四人の魔将はやる気満々だ。対して、ステラたちはというと――。


「特訓ね! 燃えてきたわ!」

「お手柔らかにお願いしまーす」

「頑張るわ、足を引っ張りたくないもの!」

「みんな頑張ろう!」


 こうして、四人の魔将と出会った僕たち。ウラヌスとの厳しい戦いに備えて、過酷な特訓が幕を開けるのだった。

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