表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】流星の星霊術士  作者: 折尾リク
二章 北極星【ポラリス】
31/48

決戦準備

 僕たちは部室で作戦を練った。各々の力を最大限発揮できなければ、この作戦は成功しないだろう。そんな中、メグがスマートフォンと格闘をしていた。


「なるほど、これはこういう意味で……」


 そして、彼女は完全に理解したと言わんばかりの顔でこちらを見た。


「教会地下のサーバーにアクセスしてみたんだけど、プロテクトが凄いよ。一応バックドアを仕込んでみたけど、多分『人格書き換えプログラム』の発動を遅らせることしかできないと思うね……やはり現地に乗り込んで直接サーバーを破壊するしかなさそうだね」


 メグが持っているスマートフォンは遺物アーティファクトと呼ぶにふさわしい力があるようだ。それをこの短時間で理解して、操る彼女の才能も凄まじいが。


「なるほど、そうなると、教会の聖騎士をどうやって排除するかが問題ですわね……」


 カレンは目を閉じ、少し考え込んだ後、僕たちに作戦を告げる。


「お父さんに頼んで、シリウス家の騎士を動員します。そして聖騎士を陽動し、その隙に教会内部に突入しましょう」


「そうだね。騎士の方にも、直接の交戦は避けるようにしてもらおう。あまり犠牲は出したくない」


 みんなを救うための戦いだ。本当は一人も死んでほしくない。


「わ、私は何をすればいいの?」


 ステラが少し焦った様子で、僕たちの顔をしきりに見る。


「教会内部にも聖騎士はいるでしょうから、その時はステラの出番ですわ」


 カレンはステラの肩にポンと手を乗せた。


「私とカレンくんは、頭脳担当。アスターくんとステラは脳筋担当だな! ハッハッハ!」


「誰が脳筋担当よ! 待ちなさい!」


「ははは! 捕まえてみなよ!」


 メグがステラを煽り、狭い部室の中で二人は追いかけっこを始める。


「二人とも今は真面目な話をしてるのよ……」


「ごめんなさい」


 カレンの一喝で二人はビクンと体を振るわせ、申し訳なさそうに謝罪する。そして部室に静寂がおとずれた。


「でもまあ、緊張しすぎるのもよくないわね」


「確かにそうだね。本来の力が出せないと、この作戦は成功しない」


 僕は三人の目をしっかりと見据えた。


「そうね! 私の力で教会の地下までの道を切り開いて見せるんだから!」


「ギルドカードシステムによる『人格書き換えプログラム』の発動は必ず阻止しなくちゃね!」


 ステラとメグが気丈に振る舞う、本当は恐ろしいはずだ、自分もそのシステムの内部に組み込まれているのだから。


「そういえば、メグそのスマートフォン……じゃなかった遺物アーティファクトを少し貸してもらえるかな?」


「うん、いいよー」


 彼女は二つ返事で了承し、僕に遺物アーティファクトを渡した。


 見た目は完全にスマートフォンだ。僕は電源ボタンを押し、画面を点灯させる。電波を示すものはなかった。


 メグはどうやってサーバーにアクセスしたのだろう? それにしてもロックもかかってないとは、前の持ち主は不用心だな。


 そんな事を考えながら、遺物アーティファクトを操作していると、設定画面から前の持ち主の名前が判明した。


 なになに、佐藤刃サトウヤイバか、なかなか凄い名前だな。


 さらに操作していくと、『俺の日記』なるファイルを見つけた。僕は悪いなと思いつつも、興味本位で覗いてしまった。


 『今日俺はついに念願の「異世界転移」を果たした、アメオとか言う神からもらったチートで無双していくぜ!』


 この遺物アーティファクトは、百年前に転移した佐藤さんの持ち物だったのか。


 『二日目、盗賊がいたので、俺のチートで壊滅させてやった。なのに村人たちのヤロー感謝するどころか、化け物でも見るような目だった。ムカツクぜ』


 いきなり目立ちまくってるな、佐藤さん。


 『ムカツク、ムカツク、ムカツク、もういい日記もやめだ。この世界は俺の物語なんだぞ』


 おいおい、三日坊主か。それにしても『俺の物語』なんて、すごい思い上がりだな。


 日記はここで途切れていた。彼のその後が気になったが、こんな調子なら、きっとアメオ様が裁きを下しているだろう。


「熱心だねー、アスターくん」


 僕が遺物アーティファクトに集中していると、メグが覗き込んできた。


「いや、この日記が気になって……」


「ああ、それねー。良く分からないんだよね。『異世界転移』とか言ってるけど嘘臭いよねー」


 メグは首を傾げている。信じてはいないって感じだ。


「そうだよね、ははは……」


 転移じゃないけど、転生はしたよ……。なんて言っても信じてはもらえないだろう。僕は笑って相槌を打つことしかできなかった。


 佐藤さんの遺物アーティファクトとギルドカードは酷似している。偶然なのか、それとも――。


 今は考えてもしかたがない。『人格書き換えプログラム』の発動というタイムリミットが迫っている。


 僕たちは最終確認を済ませ、明日の夜の決戦に備えるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ