上海楼war
現在昼12時、ユートンから店番を任されてから早一週間のマリア。
最近は店番も馴れてユートンも安心していた。今日は午前中に10人ほどの客が来た、12時ぐらいは客が入ってこないのもわかってきた。
チリーンと珍しくドアベルがなる。
「ユートンいるかい?」
マリアは誰かわからずユートンを呼んだ。
「アイル」
ユートンが不機嫌になる。
「これをヒビキ君達へ渡しておいて欲しい、GT君につけるネックレス型の発信器と最新型のドアノブ。ドアノブに端末登録すれば入室時の記録が入るようになってるからユートンから説明してね。ところで今度食事にいかないかい、あの日の埋め合わせに美味しいご飯を奢らせて欲しいんだ」
「考えとくわ、一年前の話だもの気にしてないわよ」
「そう、じゃ時間があれば連絡をくれないか今週末は時間を空けたんだ」
そう言ってアイルは去っていく。
「お姉ちゃんモテるんだね」
マリアがからかう。
「そんなんじゃないわよ、一年前にあの男から私が誕生日だからってご飯に誘われたの。待ち合わせの時間に来ないから帰ろうとしたらあの男別な女の荷物持ちしてるとこに出くわして大喧嘩。パン屋へ小麦粉を運ぶの手伝ってたらしいの、その後の一言が頭にきてね」
「なんて言ったの?」
「ほっとけない顔してたもんだから」
「へぇ失言でしたね」
「まったくよ、グイグイきてた男が誕生日の日に別な女の荷物持ちよ。冷めたわ、男って単純ねと」
「お姉ちゃんも大変ね、一年前のリベンジをしに奮闘する男。巻き返しにはキュンってなる行動が必要だわね」
「まったくよ、そろそろ一時よ上がりなさいマリア。これ今日のお給料ね」
「ありがとうございます」
マリアは2000円をもらい帰る。
今日で少し懐も増えたからお昼ご飯を買って帰ろうとデニッシュへ。
「いらっしゃいませ」
リンリンがいた。
「この前はありがとうございました」
「あら、マリアちゃん1人?」
「そうです、お昼ご飯買いに」
リンリンはマリアへの警戒心は解けているらしく普通に接してくれた。
「何のパンにする?」
「うーん、甘いやつと肉っぽいのが良いです」
「じゃこのクリームあんぱん食べてみなさい、凄くオススメよ。あとはこのカツサンド2つ合わせて600円よ」
支払いが終わりオマケでメロンパンの型崩れをもらった。
「ありがとうございます」
マリアはユートンを怒らせた女がリンリンだとはわからずに笑顔で店をでた。発育の良いお姉ちゃんだと心の中で思う。
「マリア」
声をかけてくる女がいた
「ユンファさん」
この女、上海楼きっての娼婦。マリアにたまにご飯をくれていた。そうは言っても野良猫にエサをやる感覚でマリアもわかっておりあまり良くは思っていない。
「なんか、あんた見ないと思ったら随分見違えたじゃない。買ってもらったの?」
「そんなんじゃないです。知り合いに仕事もらっていて」
心の中で面倒くさいと思っていたが一応命を繋いでくれてた人でもあるから邪険にはできない。
「ふーん困ったら言ってきな。客ならいくらでも紹介したげるから、最近若い子が好きって客多いんだよね。マリアならちょうど良い年頃だし」
「わかりました、困ったら連絡します」
そう言って足早に通りすぎた。
ユンファはその後ろ姿を見ながら、獲物を見つめる目で見ていた。
「必ず落としてやるわよマリア」




