上海蟹war5
翌朝も大量の上海蟹が獲れた。
GTはこれみよがしにカニカマという実績を他の二人に自慢している。
タンタンで蟹の入れ替えと調理の下味をつけ、蒸篭の中に蟹を入れてユートンを待った。
「妹よ何か心境の変化でもあったのかい?」
「何が?」
3人はユートンをマジマジと見た。
いつもシックに大人びた服装のユートンが今日はスリットが太ももギリギリまで入った黒地に金色と白で刺繍された柄の背中がガッポリ空いたチャイナドレスに髪を結い上げ、朱色の口紅に目尻にアイシャドーをうっすら入れ、それはそれは中華の美女という外見。
「別にいいでしょ、でかけりゃ良いってもんでもないの。大切なのは総合力よ」
リンリンに張り合っているのだが怖くて誰も何も言えない空気。
(可愛いって褒めれば?)
(兄弟から言われてもうーん、GT頼みましたよ)
(俺?いやいや、うん。わかったよ)
「あーあれだ、高嶺の花だな。まるで他の女が霞んで見える。胡蝶蘭のごとき美しさだ」
「あらGTわかってんじゃない、今度デートしてみる?」
「あぁ、うん。優しくしてくれるなら」
「何の台詞よ、もう。」
(おそらく今ので気が済んだんじゃないか?)
(俺もそう思う)
「妹よ、蟹の時間だ。」
「最速で完売してやるわ、見てなさい。あたしが伊達じゃないって所」
そう言ってユートンの実演販売がスタートした。
まずは試食から
「あら、そこのお兄さん、蟹食べてみない?ほらお口をあけてごらんなさい、どう美味しい?そう、もっと大きな声で言いなさい、美味しい?ご褒美に蟹買ってもいいのよ?ひとつ?ひとつで足りるの?我慢しなくていいのよ、うふっそう。じゃ3つね。欲張り屋さん」
(あれ何のプレイだ?)
(客も満足ではあるな)
(お前の妹、鞭とかローソクとか持ってそうだな)
次は視覚で
「あーらオマセさん、食べたいの?食べかたわかるぅ?お味噌が美味しいのよ、ここをこうやってパカッて開くのよ。まだダメよ。マゼマゼするの、もっと、もーっと。食べたい?ひとつでいいの?じゃ2つね」
(だから何の説明よ)
(今の客ははぁはぁ言ってたな)
(変な噂がたちそうですね)
その後やたらと男の客が多くなり完売まであと少し。
「あらお嬢さん、蟹食べる?」
(女にもあの調子か?)
(さすがに大丈夫か?)
「じゃ試食させちゃう、あーん」
「あーん」
「あら素直な子ね、でも欲しい時はあーんじゃなくて、いれてくださいって言わないと、ちゃんと言えたら入れてあげる」
(((おいおい)))
「お願いします入れてください」
「よく言えました、じゃほら自分で開きなさい、美味しい?」
「美味しすぎておかしくなりそう」
「もっと欲しいの?もっともっと欲しいの?ひとつで足りる?そうお口にも欲しいし右手にも左手にも欲しいの?うんっ3つね」
(満足げな顔だったなあの子)
(うん、ユートン恐るべし)
危険な香りの実演販売は2時間で蟹を完売させた。
「どう?思想はサイズを超えるのよ、自重するべきかはどちらか」
(俺らに言われてもな)
(よほどのライバルなのだろう)
(タイプがまったく違うけどな)
「ごきげんよう、まな板。なんだか噂になってると思えば、洗脳作業に勤しんでたのかしら」
「なにしに来たのよ、搾乳はやってないわよ」
「あんたがヒビキさんに迷惑かけてないか心配できたのよ、なんか蟹売ってんだか何売ってんだかわかんないって噂で聞いたから、明日は私が売り子やったげるわ。完売に2時間もかかんないわよ、見せてあげる、性能のちがいとやらを」
(今有名な台詞言ったよな)
(うん、メジャーなやつ)
(なんか不安ですね)




