<不動産屋のあんちゃんが不審な目で見てくる。>
そらそうやわな。
店舗入っていきなり「めちゃめちゃヤバい事故物件ありませんか?」とか言うたら。
「あの……そんな物件をお探しの理由……お伺いしても?」
「単純に金が無いんですわ」
「ああ…なるほど」
いきなり同情の目になった。
まあ分かる。スウェットの上下によれよれのコート着て、100均で買うたサンダル履いとったら、普通そうなる。
分かる。分かるであんちゃん。
ちなみにこれだけは言うとく。ほんまはちゃんとした靴持ってるしな??
服はまぁ……うん。ちゃんと制服のあるバイトを探しとったから問題ない!
「ちょいと、小耳に挟んだんですわ。なんでも、ぎょうさんの人が入居しては出て行く部屋があるとか、」
「ま、待ってください!」
慌てて兄ちゃんは遮ると、急に小声になった。
「どうしてそれを…?」
「なんでも何も、近所で有名になっとりまっせ」
「あぁ……やっぱりなぁ……」
「ほんで、俺はできるだけ安い物件を探しとる。どうです?」
「しかしですね、そう言って入居されて、すぐ出て行かれたりされますと、こちらとして
もはちょっと…」
「確かにそらそう思いますやんなぁ…。とりあえず、その物件の家賃聞いてもよろしい?」
「現在は……1万5千円になっております……」
「即決やァァァ!!」
「ひえっ」
やば、兄ちゃん驚かせてしもた。
せやけど、その家賃聞いたらそうなってもしゃあないやろ。
いや、誰でもなる。そうなるて。
怨霊がなんぼのモンじゃい。1万5千でどついたるわ!!
『……紙幣2枚で殴るとか、ぺらっぺらじゃのう』
「やめて。俺の思考勝手に読まんといて」
「はい?」
「ああ、いやいや何でもないんです。そこまで安いんやったら、是非!!」
「でも、大丈夫ですか?本当に……」
「なんやったら一筆書いてもええですけど?幽霊や怪奇現象を理由に退居しません、て」
「そこまで仰るのでしたら……上長に相談してきますので、少々お待ちくださいね」
「どんだけでも待ちますわ!!」
威勢よく応えたら、逆に兄ちゃんがビビってた。
なんか申し訳なかったか?
『わしが怨霊を祓ってやると言った途端に、超強気じゃの』
「……しゃあないやろ。干からびて死ぬよりマシや」
『おめさんのせいで、また事故物件にならんようにの?』
「うっさいわ。そんな事態になったら十中八九アンタのせいや」
『信用ないのぅ、わし』
「そもそも信用を積み上げようともしとらんくせに、よう言うわ」
『ぐうの音も出んな。よし、怨霊退治で少し信用度上げようかの』
「ほんま頼むで。祓えへんかったら俺ガチで首括るしかないしな?」
『まぁ、これからも世話になるんじゃからの、このぐらいは任せとけぃ』
「え、待って?これからも世話になる気なん?」
『行くとこないんじゃもん、当然じゃろ』
しれっと言うクソジジイに、もう何度目か分からんため息が出る。
成仏できひんの、このクサレ具合やからとちゃうか?
『失敬な!そんなわけなかろう!!わしはこれでも高名な…――』
「分かったから、俺の思考勝手に読むんやめてくれて」
『おめさんが分っかりやすい顔するからじゃ』
「……。」
すいませんねぇ、元からこういう顔なんですわ。
ちなみに、不動産屋とは契約を交わせた。
まず引っ越しがめんどい。
ベッドと家電以外、全部リサイクルに出したろかな。
……いくらになるんやろ。
次回へ続く!!
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