<べっしょべしょや。>
全身。くまなく。なんなら髪からもポタポタと。
タオルなんて上等なモン持ってきてへんから、まいったわ~……。
あの、ウォーターライドってあるやろ?
千紘がアレに乗りたいって言いよってん。
お化け屋敷より絶対マシやと思って行ったわ。
そしたら受付のお姉さんがまた微妙な顔で、ビニールガッパ渡してきてん。
ホムセンにあるようなええモンとちゃうで?
なんかぺらっぺらの……ゴミ袋?って聞きたくなるようなやつ。
アレ着て?被って??なんかそんなんで。
他にこの回は乗る人おらんかったみたいで、先頭に座らされて。
ちなみに、誰にも見えてへんけど、隣の座席にはちゃんと千紘もおるで。
人が乗っとらんでもロックをかけるの、妙に有り難いよな。
で、や。
千紘はさぞご機嫌やった。
ウォーターライドの一番ええとこ、最後の水バッシャーってくるとこを、濡れることなく間近で見えたみたいで。
ヤバい迫力やったらしくて、めっちゃ興奮して顔真っ赤にしとる。
俺?せやなぁ……カッパって何の役にも立たんねやなって、思い知ったとこ。
ウォーターライドって、最後結構な勾配で降りていくやん?
ぺらっぺらのカッパなんて、めくれるやん?フードはずれるやん?
そのまま水がバッシャー……やしな。カッパって何やってん。
『おにーちゃん、今のすごかった!もう一回乗ろ!!』
「あー……まぁ、ええけど……」
『……びしょびしょだね?』
「お前とちゃうんや。お前はええけどな、全部すり抜けるから」
『えっと……やめとく?』
「いや、お化け屋敷よりマシや。べっしょべしょやけど、逆に水も滴るええ男、ってな!」
濡れた髪を掻き上げて、ちょっとええ顔で笑ってみる。
『おめさん……じゃから、わしとちーちゃんは周りにゃ見えんと言っておろうが……』
うげ。なんでいきなりクソジジイが出てくんねん!!
――――あ。なんや、周りからの視線が痛い。これは痛い!!
「なんか一人でかっこつけたはる……」
「あれ?あの人さっきお化け屋敷におらんかった?」
「ウケる。動画撮ってええかな」
アカンに決まっとるやろが!!
うわー、俺またやってしもうた……学習せんなぁ……。
『おにーちゃん、無理しなくていいよ?』
「あー、ちゃうちゃう。無理はしとらん。俺がマヌケなだけや」
『ほんと?だいじょうぶ?』
「平気平気。ほな、もっかい乗ろうや」
千紘の手を引いて、俺はもっかいウォーターライドの列に並んだ。
……ん?並んだ……?
俺、さっきは一人だけやったけど……?
も し か し て ……
『おめさんの行動が怪しすぎて、他の人が同乗を嫌がったんじゃよ』
クソジジイ!!それはよ言えやァァァ!!
受付のお姉さんのカッパはもう断った。意味ないし。
帰りにびしょ濡れのままなん職質されたら、淀川で泳いでましたで通そう。
で、俺はまた、見た目一人ぼっちで、ウォーターライドの先頭に乗らされた。
そんな避けんでもよくない!?
次回へ続く!!
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