<マッサージされて気持ちよさそうなオッサンの声や。>
……まあまあ、このタイトルで分かってくれたらええかな。
別に押したり揉んだりはしとらん。
千紘が撫でるのを辿って撫でてくだけなんやけど。
「あー……もうちょい、肩の方を……」
「いや、俺マッサージ師ちゃうんで」
「…あっ……そうでした……」
そんな残念そうな声出すんやめてもらえへんかな!?
背中から首、後頭部を通って頭の先へ。
『おしまい!』
「……これで、終わりです。どうです?」
「え、あ……寝そうになってましたわ……」
おい。
完全にマッサージの後みたいなスッキリした顔しよって…。
「あ……痛いのとか怠いのとか……どっかいきましたわ」
「ホンマですか?そりゃ何よりですわ」
「そういえば……あの、料金とか……」
「うわ!すんません!!説明し忘れてましたわ!!」
しかもまだ料金表みたいなのすら作れてへん。
終わったな……。
い、一応、口頭で言ってみるか…?
「今回は霊障の癒しなので……ご、5万円になります……」
ほんまにええんか!?こんなんに5万も請求して!!
俺タイーホされたりせぇへん!?詐欺とか詐欺とか詐欺とかで!!
「……5万、ですかぁ」
「えっと……やっぱ高いです?」
「いえ、そうやなくて、今財布に無かったなと思いましてん。ちょっと部屋まで取りに戻りたいんですけど、ええですか?」
「ああ、そりゃもちろん、はい」
『お兄さん、もうどこもいたくない?』
おう、たぶん大丈夫やと思うで。
と、千紘にめっちゃ言ってやりたい…!!
後でたくさん褒めたるからな!待っとれよ!!
「ああ、やっぱり、ボクが癒してくれてたんやねぇ」
「………えっ?」
竹倉サンは、千紘の前に膝をついて、笑いながら言った。
『お兄さん……ぼくのこと、見えるの?』
「半分ぐらいぼんやりしてて透けとるけど、ちゃんと視えとるよ」
『ぼくと、お話しできるの?聞こえてるの?』
「ちゃんと可愛い声が聞こえとるし、こうやってお返事しとるやろ?」
『…!! おにーちゃん!!この人、ぼくのこと分かるって!!』
千紘、待ってくれ。
今、俺の心はそれどころやない事になっとる。
なんで?見えてんの??なんで???
「た、竹倉サン、コイツのこといつから見えて…?」
「足が終わった頃ですやろか。うつ伏せに姿勢変える時に、こう、半分透けた感じで」
「……という事は……」
「はい。もちろん分かっとりますよ。ほんまに治してくれたんはこの子の方やってことですやんね?」
あああああ!!終わったァァァァァ!!!
もう、もう土下座して頼むしかない!!
「すんません!!確かに癒したのは俺やなくてコイツです!!」
「……秋月さん?」
「せやけど!!俺の来月の家賃のために!!5万円、お支払いいただけませんやろか!!頼んます!!」
もうな、プライドとかそんな、金にならんもんは要らん!!
必要なんは来月の家賃なんや!!
ほんまにお願いします!!5万円!!
次回へ続く!!
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