<撫でるだけの簡単なお仕事。>
そう思った奴、今すぐそこに正座せぇ。
いや、ええねん。ええねんで?千紘の後について撫でるだけやし。
千紘はさっきから呪文みたいに、
『いたいのいたいの、とんでけー』
って言いながらやっとるけど、別に俺が言う必要もないしな。
けどな。
こう、足のつま先からふくらはぎ通って、膝まで撫でるやん?
そこまではええねん。
そこから先行くとは思わへんやん!?
太ももとか、ケツ近くとか!!
仲いい相手ならともかく、初対面の人間相手にやってええこととちゃうやろそれ!!
(ちょ、ちょっと千紘、待ってくれ!!)
頑張って無言の念を送ってみたけど、ジジイと違って千紘には伝わらん。
くっそ…絶対に千紘の中でクソジジイが爆笑しとるんやろな…。
なんでやろ、それが目に見えて分かってめっちゃウザい。
千紘の姿やのうて、クソジジイが実体でそこにおったら、たぶん俺殴っとる。
……こないだの、怨霊バトル見た限りでは、たぶん俺が負けるけどな。
竹倉サンの両足をそんな感じで撫でて、千紘がやっと止まってくれた。
『うん、足はもうだいじょうぶ!……たぶん』
よ、良かった……。
これで太ももの内側とかいかれたらさすがに俺動かれへんかった…。
ちょっと自信なさげに千紘が俺を見上げてくる。
『おにーちゃん、足、治ったかきいてみて?』
「竹倉サン、足の方どないです?」
「え……あ、」
立ったり座ったり。
両足動かして、ぴょんぴょん跳ねてみたり。
なんかくるくる回って……って、何しとんねんコイツ。
「す、すごい……足が軽い!!痛くもない!!」
「良かった、上手くいったみたいや」
そう言いながら、後ろ手で千紘の頭をぽんぽん撫でといた。
あ、ちょっと嬉しそうな顔しとる。
『おにーちゃん、背中とあたま』
「……せや、喜んでもろとるとこ悪いんやけど、まだ背中と頭が残ってますんや」
「あっ!すんません……嬉しくてつい……」
なんでか知らんけどバレエみたいに踊っとった竹倉サンが、ハッとして大人しくソファに座り直した。
なんなんコイツ。ちょっとオモロイやん。
癒したら【爽やかイケメン】になると思ったんやけど…多分ちゃうな、これ。
『おにーちゃん、座ってたらちょっとやりにくい……』
「ああ、せやな。竹倉サン、次は背中やるんで、そのソファにうつぶせで横になってくれはります?」
「あ、はい。こんな感じでええですか?」
二人掛けソファやし、足がだいぶはみ出とるけど。
こうやって見ると、だいぶ間抜けやな。おもろい。
千紘を見ると、頷いとったから、たぶんこれでええんやろ。
ほんならこのまま始めてまうか。
……ソファ、ファブっとけば良かったな……。
次回へ続く!!
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